あたしには、常々考えていることがある。
どうして魔物は人間を嫌うんだろう。見下し、嘲弄し、虫のように扱うんだろう。
仲良くなる方法はないのだろうか?和解せずとも、闘わずに住み分ける方法はないのだろうか。
―――そんな方法誰も思いつかないからこそ、闘いはなくならないという事も分かっているけれど。
やっと身体が全快したので、墓地に技の練習に行った。
結果はまずまず。自然とおなかを庇う癖が付いてしまってたけれど、それもおいおい克服しよう。
練習で汗かいて、お風呂に入って寝よう―――そんなことを考えてたら。
不意に聞こえた拍手に邪魔された。
現れたのはリンヴィー。
小馬鹿にしたような笑いがひどく癇に障る男。
彼の言葉の端々にある、どこか見下したような言い回しにあたしの機嫌は一気に悪くなった。
どうも彼は人間ではなくて、それどころか人間に対して悪い感情を抱いている人物らしい。
彼は友人なんてないと言った。作る気もないと。
それは、あたしの信念とまったく相反する思想だ。友達は多い方がいい。みんなで一緒にいるのは楽しい。
小さな幸せは友達といればどんどん大きな幸せになり、大きな不幸はみんなで分け合えば小さくなる。
「楽しいことは独り占めするものだ」と彼は言う。
―――そんなのは間違ってる。
彼とあたしの道徳観念というか、認識というものにはどうやら酷く深い溝があるらしい。
必死に説明していると、彼はあたしに友達になってくれるか、と言ってきた。
あたしに断る理由はない。例え魔族でも、なんであっても……差し伸べられた手を払いのけたくはない。
……人を嘲らない、傷つけない、裏切らない。その約束を彼が守ってくれるのなら。
彼にはもっと人を好きになってもらう必要がある。彼のことを理解できるよう、あたしも頑張ろう。
……今の彼の性格は、ゴキブリとタコの次にキライだけどね。
遭遇者:リンヴィー