人は願いを叶える為に、教会の聖像や、空の星々や、水の流れや、笹竹にそれを託す。
それらには神様や妖精、精霊が宿っていると信じているから。
託した願いの全てが叶う訳ではないけれど、それでも託さずにいられないのは、
きっと自分を護ってくれている眼に見えない誰かの息吹を感じたいからなのだろう。
水の大祭(フィエスタ・グランデ)が始まった。
街のどこを見ても、綺麗な花束やリボン、水晶の飾りでいっぱい。
田舎でのささやかなお祭りしか見た事がなかったあたしにとって、初めての大きなお祭り。
とてもエキサイティングで、ワクワクする。
お祭りの間、水辺に蒼い花を流して願い事をするとそれが叶うという伝説があるらしくて、早速やってみた。
リトゥラ湖の下流で、舞い躍る蛍に遭遇。とても幻想的で、溜息が零れた。
願い事をして花を流し、さて帰ろうと思ったら、元気のいいお客さんが。
彼女の名前はリシュア。耳の長い、彼女はエルフ。エルフは何度か見かけた事こそあるけど、直に接触するのは初めて。
文献では、エルフは思慮深くて落ち着いているという印象だったけど……彼女はとにかく元気で、そのイメージとはかけ離れていた。
勢いよく来すぎたお蔭でずぶ濡れになってしまった彼女に、ジャケットとハンカチを貸す。妖精種のエルフがどれだけ頑健なのかは知らないけれど、用心しておくに越した事はない。風邪なんて引かないように。
ジャケットとハンカチは、今度逢った時に返してもらうって約束。
金色亭で、ご飯でも食べながらお話しできればいいかな。
遭遇者:リシュア