結局昨日は野宿して、起きたら身体のあちこちが痛かった。
でも、気を取り直して図書館へ。そして本の多さに驚く。
どこを見ても本、本、本まみれ。
文字にすると本本本巻物本本巻物巻物本巻物本巻物本本って感じ。あと地図。
里の村長の家もかなり本があると思ってたけれど、その1000倍くらいありそう。
ここなら、吸血鬼関連の書籍もたくさんあるわよね、きっと。
と思って色んな本を纏め借りしようと思ってたら、高い所にあった本を取ろうと思ってひっくり返っちゃって。お尻をしこたまぶっつけたんだけど、そしたらあたしに手を差し伸べてくれる人がいた。
なんだかとても小奇麗な、いかにも育ちのよさそうな人。年の頃はあたしと同じような感じだったけど、物腰とか佇まいとかが洗練されてて、田舎者のあたしとは雲泥の差だった。
あたしが恥ずかしくなるくらい洗練されたその人の名前はムーシュ。本当なら、友達になって色々街の事を教えて貰ったり、あわよくばちょっぴりでも貴族な生活っていうのを見せて欲しいなって思うところなんだけど……
でも、彼はヴァンパイアだった。
ヴァンパイアは滅ぼさなければならない。
彼は言った。ハントは獲物に気付かれてはならない。彼らは自分の生活を護る為なら、なんだってするだろう……と。
分かっている事ではあったけれど、私を気遣ってくれるその言葉は、純粋に有難かった。
いい人なんだ、きっと。
―――でも。
彼はヴァンパイアなんだ。
遭遇者:ムーシュ