夏休み 下山
朝4時10分に起床。山頂で日の出をみるためだ。
山小屋から山頂までは30分ほど登る必要がある。
東のほうから色づいてきた朝焼けを仰ぎ見つつ、ぐいぐい岩場をのぼる。
気温は13度ほど。さむくはないが、フリースを着こんで風をふせぐ。
5時少しまえ、日の出。というか、朝焼け。
山小屋に戻り、しらすとエビの入ったおかゆを頂く。本当においしい。
出発のとき、山小屋の管理人さんと少し話をした。
少し冗談まじりに、さみしくなることはないんですか?と聞いてみた。
「ないですね」と即答が返ってきた。
「里のほうが、私はつかれるかな」とのこと。
里、ですか。ふだん僕らは使わない表現だと、思った。
下山は順調。とはいえ、下山時のケガが多いときく。足元をしっかり踏みしめるよう、集中する。
家についたのは午後2時半ごろ。
ただいまー、とドアをあけるが、だれもこちらを見ず、おかえりーと妻の声だけ聞こえる。
長女が、なにやらYouTubeのおもしろ動画を見ており、それを妻と娘たち全員がのぞきこんでいるところだった。
僕は重いザックをおろし、汗ばんだシャツをぬぎ、気持ちのよいシャワーを浴びた。