生徒の興味を引く魅力ある授業 | 長坂憲道(作曲家、アコーディオン奏者)
2018年06月08日(金)

生徒の興味を引く魅力ある授業

テーマ:学校教育

おはようございます。

大阪の朝は曇り。

午後からは雨が降るとのことだけど、既に午前中から降ったりやんだり。

洗濯物は室内干しです。

梅雨入りしましたから、この期間は雨天が多くなるのは自然なこと。



今日は、学校の先生をやっていると、時々耳にする話し。

しかも、ちょっと耳が痛い話しについて書いてみようと思います。

生徒が授業を聞かずに寝てしまうのは、魅力ある授業ができていない先生のせいだ!

と、世間で言われているのをよく耳にしますよね。

ごもっとも。

ですが、半分以上は「そんなことは無いんだぞ!」と反発したい気持ちです。

魅力ある授業づくりが実現した方が良いに決まってる、と、ほとんどの教師達がそう思っています。

こんなことは日本全国の先生が当然のようにそう思っていますし、僕も含めて人知れず日々努力を続けていることでしょう。

多くの先生が自分のスキルを高めようと、いろんなお稽古事にも通ったりしていますし、教科別の研究会もあって、常日頃からいろんな学校から同じ教科の先生が集まり、指導方法についての勉強を続けているのです。

逆に魅力のない授業とは、どんな授業を指しているの?と問うと、具体的に問題をを指摘できる人はなかなか居ないような気もしますが・・・。

魅力のある授業:寝てしまうような生徒、興味のない生徒でも前を向いて、かつ集中して話を聞いてくれる授業。

とでも言いたいところでしょうか?

こんなものは幻想でしょう。

寝てしまう生徒は、睡眠不足が原因であったり、または集中力が続きにくい性質であることが原因であり、授業の内容に関係なく寝てしまいます。

あまり大声で言ってはいけないことでしょうけど、こういう結果は学校のタイプによって大幅に変わるんですが、それには今回は一切触れません。

また、僕がやっている授業が完璧で魅力あるものだと豪語するつもりか?と言われると、決してそうでもありません。

どちらかというと、僕は頻繁に壁にぶつかって思い悩んでいるタイプです。



これが、外部からやってくる単発の講演講師であれば、一回キリという条件付きに限り、必ず上手くいくんですよ。

生徒たちにとっても、今日初めて出会う講師との新鮮な時間は、程よい緊張感があり、気持ちが引き締まっているのです。

それと、講師も学校での講演会のツボを押さえ、素晴らしいテクニックを持っていますので、その点は非常に上手です。

これは間違いありません。

しかし、この講演の講師が毎週同じ時間の同じ授業を続けると、特別講演の時の生徒たちのように、継続した集中を維持させられるのか?というと、それは絶対に不可能です。

教育実習でも同じことが言えると思います。

多くの学校(中高)では、ちょうど今(6月ごろ)に教育実習が実施されます。

ゴールデンウィークも明け、一度目の定期考査も終わり、生徒たちも新年度の生活に慣れて気が緩んでくる頃。

いつものレギュラー教師が一番苦労をする時期でもあるのですが、この時期にとても元気な若者、しかも生徒たちとあまり年齢の変わらない若者が教室に飛び込んでくるのですから、生徒たちにとって非常にいい刺激となり、けっこう上手く行っちゃうんですよ。

僕自身も大学4年生の頃には、もれなく「教育実習がうまく行っちゃう」錯覚を体験しました。



よく「理想の先生像」として、タレントなどの名前が上位に挙がったりもしますが、テレビでどれだけ面白いタレントであっても、学習指導要領に沿った内容の指導で、一定の成績評価をしながら一年間の授業を運営してみたら痛いほど分かると思いますが、僕らのような名も知れない教師でも有名タレントでも結果は同じ、いや、どれだけ人気あるタレントさんであっても、全然うまくいかない事実に直面し、僕らよりも辛い思いをすることでしょう。

NHKの番組で、OBであるタレントが母校に帰って授業をして、ものすごく充実して魅力的な時間が実現、子ども達も生き生きとしている様子が放映されていますが、あれも一回キリだからです。

例えば僕がミュージシャンとしてあの番組に出演して、母校の中学や高校で授業をすると、僕らが日々経験して苦労している現場の状況とは、全然違う結果になることも容易に想像ができます。

僕は無名三流だからNHK全国放送でやってみたところで誰それ?でしょうから永遠に取り上げられることも無いでしょう。

あの番組に登場するOB・先輩の先生が有名だから成り立つのであり、多くの人の共感を得られているだけなのです。

授業として運営する目的、コンテンツが全く違いますし、番組制作サイドからの企画、演出、提案にも随分と助けられることでしょうから。

一方で僕ら名も無き教師達は、普段から授業の企画も運営そして実施も、自分一人でやっています。

失敗して恥ずかしい場面も多々あるでしょうけど、渾身の授業がかっこよく決まってる場面も多々あるはず。

けれども、残念ながらテレビで放映して全国の皆さんにお見せすることも叶いません。



どんな生徒にも均一に興味を持たせるという目的と、学習指導要領にある範囲を漏れなく学ばせるというのは、全くの別物なのです。

多くの興味を引かせようとして大多数に支持が得られそうな刺激ある内容へと靡いてしまうと、それは広告収入を主たる目的とする娯楽メディアと全く同じになってしまいます。

学校教育は決して娯楽メディアではないのです。

学校はオイシイものばかり見せて、広く数字を稼ぐことを目的としていません。

自ら楽しみを見つける力、多くの情報から自分に合うものを選び抜く力を与える機会を作るのが教育ですからね。

この学校で単位を修得させて卒業証書を堂々と受け取ってもらうためには、興味がある/無い以前に、社会に出るためにはどんな条件をどんな風にクリアするのか?

例え、それが自分が嫌だと思っていることであったり、嫌いな先生の授業であったとしても、与えられた最低限のことだけでもクリアしていくことで、それが最低限の評価に繋がり、社会で認められるんだという過程を身に付けてもらう機会、それが学校教育なのですから。

僕は音楽という教科を担当していますが、僕の得意な音楽だけを好きなように教えていれば良いものでは無いのです。

ライブ、コンサートのように僕というパーソナリティを出し、僕の思いを一方的に伝えるだけでは全然うまく行かないということは、一番最初に教壇に立った瞬間から思い知らされています。

そこそこのキャリアがあるミュージシャンが音楽教師をやったからと言って、そこには決してアドバンテージがあるとは言えない現実は身をもって知っています。

音楽教育を守る会の先生方、特に学校の音楽の授業では音楽人は育たないという会の意見に「そうだそうだ!」と賛同した人は、1年間で良いから学校で音楽の授業をやってみなさいな。



これは別の場面に置き換えると、音楽療法にも同じことが言えますよ。

どれだけ表現力、対応力が高い奏者だとしても、それがすぐに音楽療法士として現場で使える戦力となるのか?と言われると、それもNoです。



僕自身、ストリートライブという表現スタイルも長年続けてきました。

演奏に興味を持ってくれた人は足を止めて聴いてくれる。その上で投げ銭をいただけたり、CDを買っていただいたりしています。

一方で、興味のない人は足を止めること無く、そのまま通り過ぎてしまいます。

おそらく全く音楽なんて耳に入って無いことでしょう。

これはこれで自然なことですよね。

通り過ぎる人が何人いるか分からないけど、足を止めて最初から最後まで聴いてくれている人が沢山いるのも事実です。

たとえば、昨日と今日と、全く同じ内容の演奏をしていたとしても、誰一人立ち止まって聴いていない状況では、誰にも見向きもされません。

こんな状況も何度となく経験し、凹んだことも多々。

が、誰か一人が立ち止まって聴いてくれると、2人、3人・・・あという間に10人や20人は集まってくれます。

これは日本の国民性の特徴でもあるんですよね。

自分一人だけで聴くのは心細い。

自分一人が良いと思っていても、それを堂々と表明しにくい。

それが「みんな聴いているから」という状況の中だと、安心して「自分も好き」と言いやすくなる。


いろんな面が理解できてきると、自分たちのやっていることは、決して誰もが興味を引かないような、つまらない内容なんかではないということにも気づかせてもらえました。

逆に、全員が足を止めることが出来る音楽なんて、あり得ないということを知りました。

テレビで言うなら、視聴率100%のチャンネル、視聴率100%の番組なんて、あるのか?って話しです。



学校の授業では「ストリートライブでは間違いなく通り過ぎてしまう人」であったり、「テレビのチャンネルを頻繁に変え続けるタイプの人」が必ず一定量混入しています。

その重たい腰を上げさせ、今この音楽室でやろうとしている音楽の授業に集中そして継続して参加してもらうためのプログラムと、この音楽室で音楽を一生懸命学ぼうとしている人達のために教えるプログラムとは、全くの別物です。

僕ら教師は、どちらか片方だけを優先することは許されませんので、この両方を常にバランスを取りながら授業を運営しています。

やる気のない生徒の方を向いた瞬間には、やる気のある生徒にとったら「とてももどかしい時間」となり、魅力的な時間だとは思えないだろう。

逆に、一生懸命やろうとしている生徒のために、より高度な説明、そしてテンポの速い指導を進めると、やる気のない生徒は全く付いてくることが出来なくなる。

この両面が常に背中合わせなのです。

日本全国、どんな学校でも、魅力のない授業をやってる先生なんて、ほとんど居ないと思うんですよ。

先生は情報を発信する人です。

先生が持っている専門知識を伝えるために発信を続けています。

ダラダラと一方的な発信を続けているのではななく、常に受け止める側の様子を見ながら、発信の仕方を工夫し続けています。

その情報を「知りたい」と思っている人は、どんな先生が伝えたとしても、学ぶべき内容をしっかりと受け止めようと努力をするのです。

大事なのは、情報を受け止める人が、その情報を必要だと思うのか、必要だとは思っていないのか、これが噛み合わないのであれば「魅力の有無」という価値判断をするのは見当違いも甚だしいのです。

魅力が無いというか・・・あまり望ましくない伝え方の例があるとするなら

よほど声が小さすぎるとか、活舌が悪すぎるとか、教えるべく単元の整理が全くできないまま進めてるとか、そんな先生でも無い限り、学校において「魅力がない授業」なんてものが発生する可能性は低いと思いますよ。

教員免許を持つ学校の先生は、その専門の訓練を繰り返してきていますので、そういう状況に陥る可能性は、あまり考えにくいのです。

では、何故、先生が魅力のない授業をやってるから生徒が寝ちゃうとか、生徒が話を聞かない、なんて言われてしまうのか?

それは、その意見の発信元が生徒の立場からの一方的なものであり、しかも、やる気のない生徒の主観に過ぎません。

そういう生徒は、どんな授業でも、どんな先生でも、同じことを言うんですよ。

自分が興味を持てない理由、自分が集中できない理由を、他者のせいにしているだけです。

ハッキリ言って、情報の受け止め方に問題があるだけです。

こういうことを言う生徒は、学校の授業に限らず、社会全般で同じ言動を繰り返す傾向にありますが、学校という教育機関では絶対に野放しにしてはいけないのです。

うちの学校の卒業証書を手にしてもらうからには、一定条件の中でルールを守りながら、与えられたことをクリアしていくという実績を評価して、その評価に自信を持ってもらうことを目標としている、それが学校教育です。

僕はミュージシャンとして沢山のステージに立ってきました。

イベントやコンテストの司会などの経験も重ねてきました。

音楽教室の講師としても一定の評価が得られるようにもなってきました。

ですが、学校の教師としては、まだまだです。

どれだけ良いライブが実現しても、MC、トークがが上手になってきても、音楽教室でのレッスンが上手くいっていても、学校での教育活動は全く次元が違うことをやっていると強く実感しています。



さて、毎日紹介を続けているアコーディオン動画ですが、こんな話をした後ですから何が良いかな?と迷うところですが、僕が学校に勤めるようになった2006年、高校の音楽の授業で使うために作ったオリジナル曲がありますので紹介したいと思います。

ギターやアコーディオンを使って合奏が出来たらいいなと思って何曲か作ったうちの1曲、僕の4枚目のアルバム"VIVID ACCORDION"に収録した「風の吹く坂道のアコーディオン独奏を聴いてください。

 


特にこの1~2年ぐらい、正直なところ頻繁に「辛いな」「学校なんてもう辞めちゃいたいなあ」なんて思う機会があります。

生徒のタイプが変わったのかも知れませんし、僕の心の健康状態かも知れません。どちらが問題なのかはよく分かりません。

そんな中でも、今までに経験してきた生徒達とのかけがえのない思い出が、この職業を続けるべきだと思いとどまらせてくれます。

今でも「結婚することになったから先生来て!」と、結婚式、披露宴・パーティーに呼んでもらえる機会があり、その都度、楽しかった学校生活をたくさん思い出させてくれます。
 

今日紹介したこの曲も、過去には学校の授業でも実際に使っていた曲なのですが、授業で「今回の授業の課題曲は先生が作ったんだよ」なんて言いうと、生徒たちは「すげえ!」「やばい!」なんて、一瞬は尊敬のまなざしを浴びたことを思い出します。

が、継続してコレを教えて、何とかして弾けるようにさせてあげようとすると、なかなかうまくいかない自分(生徒自身が)に苛立ちを覚え「もう無理」「ウザイ」「キモイ」と言って拒否をするようになっちゃうんですよね(笑)。

お聴きいただいた通り、メロディーは非常に簡単ですし、伴奏のコードもギターやキーボードでも、できるだけ弾きやすくなるように考えてありますので、軽音楽部とか吹奏楽部とか、楽器・音楽が好きな人にとったら、こんな曲は非常に物足りないものになります。

この曲は、君たちのことを考えながら、この学校の前の坂道でいつも吹いている風を思い出しながら、時には向かい風や上り坂で苦しい時もあったけど、帰りには下り坂や追い風になって楽に感じることもあるよね、なんてことを伝えたくて作ったという思いこそが、僕が今も学校に勤めている理由です。

これは教師としてではなく、あくまでも一人のミュージシャン、作曲家として。



このブログで紹介しているようなアコーディオンの演奏動画を見て、いいなあと思っていただけましたら、是非とも長坂憲道のアコーディオン演奏動画チャンネル←クリックすると簡単に登録できますので、皆さん何卒よろしくお願いいたします。

「この曲をアコーディオンで聴きたい」と思いつき次第、コメント欄にて気軽にリクエストしてください。

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