私はとても温厚で、優しい、癒し系の人間だと言われます。
しかし、31歳当時の、うつ病と発覚する前の自分は、真逆の人間となっていました。

・すぐに怒る
・人の怠けるのが許せない
・威圧的な態度の人が許せない
・とろい人が許せない
・歩くのが遅い人が許せない
・人をバカにする人が許せない


そんな風に、強烈に感じていました。人間が皆、裏表があるように思え、
人の親切や優しさも、素直に受け入れられませんでした。
特に、自分でも怖いなと後に思ったことは、
駅の階段などで、前を歩く人が遅かったりすると、
後ろから背中を蹴飛ばしたくなる衝動に駆られることでした。
その当時は、東京に住んでいたので、電車に乗るたび
そのような妄想に駆られました。相手は誰でも構わずです。
恐ろしいことです。

この時点で、すでにうつ病にかかっていたのだと思います。

完全に私自身がおかしくなったきっかけは、例の45歳の先輩の言動でした。
普段から人を管理することがきついその方が、ある日、私が行った報告に不満を持ちました。
その日以来、その先輩は、何かあるごとに「お客様との会話を一言一句報告して!」と
威圧的に私に命令するようになりました。
休日にも先輩から電話がかかってくるようになり、それがだんだんと恐怖に感じるようになりました。

人を小ばかに、諭すように説教され、自分はどんどん萎縮し、
身体が震えてきました。先輩の目すら見ることができなくなり、
会うのすら怖くなりました。そして自分の中の自信が急に崩壊していきました。

オフィスで仕事の電話をしていると、私の声が小さいのでしょうか、
電話先の相手に、「お声が遠いようで・・・」と何回も指摘されるようになりました。

また、判断力が低下し、普段は絶対間違えることのない単純業務でも
間違え
たり、それをまた45歳の先輩に指摘され、咎められ、すっかり廃人のようになりました。
その当時は、45歳の先輩の言うことを忠実に守ろうとして、
失敗しても、
「自分が悪いんだ。自分の力が足りないんだ。」
「これ以上、他人に迷惑を掛けたくない!」
という気持ちが強かった
です。
しかし、そう思えば思うほど、自分が惨めになっていたのも事実です。

食欲も無くなりました。
人にも相談することはありませんでした。
まさか自分が「うつ病」だとも思わなかったし、
うつ病について、何も知識がなかったので、連想すらしませんでした。
アパートに帰宅しても、やることと言えば酒を飲むこと。
酒を飲むと、身体が少しリラックスでき、そしてハイテンションになりました。
「もっと頑張ろう」という前向きな気持ちにもなりました。

(今振り返ると、これはとても危険な状態です)

夜は遅くまで眠りにつけず、夜中に何度も目が覚めました。
脳が完全に覚醒している状態でした。

そして、出勤前にだらだら起き、ぐったり疲れている自分がいました。

このような状態が約3ヶ月続きました。この3ヶ月の中に、
仕事以外では、女性問題が勃発しました。
ひらたく言えば、女性に振られました。

すでに、おかしくなっていた私は、女性に安楽地を求めようとしたのだと思います。
これまでも親交のあった女性と仲良くなり、そして、すぐに喧嘩別れしました。
歯車が急に狂ったように、関係がおかしくなりました。私はとても人間否定された気分になりました。
それほど、当時の自分はおかしかったのだと思います。

又同時に、金銭的な問題も心を悩ますものでした。
給料が不安定になり、自分でも知人から借金をしなければならない状態に一時的になりました。

このように、仕事・男女関係・お金の問題が一気に降りかかっていました。
人間をうつ病にさせるのは簡単です。
複数の大きなストレスを、短期間のうちに同時に与えれば、その人間はうつ病になる可能性が高いです。