伊坂幸太郎さんの新作長編「ホワイトラビット(a night)」を読みました
これは傑作!
仙台のある家に短銃を持った男が乗り込んできます
男は犯罪組織の一員なのですが、その組織の金を持ち逃げした人間を探しているのです
GPSの反応を追ってきたのですが、その家に目当ての人間はいないようです
いたのは母と息子、そして2階に父らしき男が1人
犯罪組織の男は妻を人質にとられており、なんとしてでも持ち逃げ男をみつけなくてはなりません
しかし!そこから始まる籠城事件は意外な展開に!
伊坂さんが、場面や時間を巧みに入れ替えて繰り広げるマジックで、読者をあっと言わせてくれます
全編を通じて「レ・ミゼラブル」が通奏低音のように流れていて、場面転換の時なども時代がかった古典的な言い回しが用いられるのですが、この遊び心が逆に新鮮です
もう随分と古い話になりますが、技が過激化の一途をたどっていた平成のプロレスにおいて、武藤選手が昭和の技である4の字固めやドラゴンスクリューをあえて使って見せた時のような感じといえます
特殊部隊を率いる警察の課長は、ちょっと伊坂さんの作品のキャラクターっぽくないのですが(貫井徳郎さんっぽい)、うまく設定されておりラストもよかったです
非常に満足しました!
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