1979年の福島万弥ちゃん(5)殺害事件について、
足利事件で起訴される前日の91年12月20日、
栃木県警捜査本部が菅家さんを足利署で取り調べた際の録音テープの内容。
(弁護団の書面から抜粋)
(下野新聞社『冤罪 足利事件』p308~p314より複写)
警視「万弥ちゃん事件に対しては、ほんとに、どういったことなんだ。」
菅家さん「ほんとに……(涙声で)申し訳ないと」
警視「申し訳ないということは」
菅家「はい」
警視「自分でそういうことをして申し訳なかったと」
菅家「はい」
警視「私が万弥ちゃんの犯人なんだと。言うことで、わびたいと言うことなんか」
菅家「(泣いている)」
警部「菅家、泣いてねえでさ」
菅家「はいそうです」
…
警部「しばって、こんだビニールっちゃ何に使ったんだい」
菅家「あのー」
警部「自転車にこのまま乗っけたの。しばったやつを。体を。
そのままわかるわけだんべ、こら女の子だっつうの」
菅家「はい」
警視「ビニールは何に使ったの」
菅家「ビニールはあの体ですか。入れるようにしまして(略)」
警部「色は」
菅家「色は……」
警部「こんな大きなビニール袋があんの……ん」
菅家「あります」
警部「あんの。それは家から持ってきたんだな」
菅家「はい(略)」
警視「その後はまっすぐ、じゃ、ここへ持ってって捨てたということなんか。
どっかへ運ばなかったか」
菅家「どっかですか」
警視「うん、どっかに」
菅家「自分は」
警視「ビニール袋の袋だけ」
菅家「やはり」
警視「うん」
警部「ビニール袋は切れちゃうんじゃないかい」
菅家「どっか置くってことはしなかったんですけど」
警部「いやいや、袋はビニールに、なんだ、万弥ちゃんの体を小さくしばったっつたろ」
菅家「はい」
警部「で、その大きいビニール袋は何かにまた入れたのか」
菅家「自分はあのー、ビニールに入れまして」
菅家「そうすっと普通はよく透き通って」
警部「うん、だから透き通って、中身が見えないビニール袋に入れたんだろ」
菅家「はい」
警部「その後、万弥ちゃんが入ったビニール袋を何かにまた入れたんか。かばんか何かに」
菅家「……」
警部「風呂敷に包むとか。何かしたんか」
菅家「自分は」
警部「うん」
菅家「あのー、そのビニールですか、ビニール入れまして、
そのビニールはあのー透き通るとか」
警部「うん、だから、中身が見えないビニール袋に入れたんだよ」
警視と警部「中身がなかったんだよ」
菅家「はい」
警部「その入れたビニール袋を、そのままじゃなくて、何か」
警視「箱の中入れたとか」
警部「ビニールをこの、包んだね」
菅家「はい」
警部「包んだっつか、こういう袋入れたでしょ」
菅家「はい」
警部「ビニールん中へ、あの、万弥ちゃんを」
菅家「はい」
警部「そのやつをさらに何かに入れたんじゃないかって聞いてんだよ。
何も入れねえのかって、そのビニールしか」
菅家「自分はなんか、ビニールでして」
警部「ビニールだけで自転車のけつ、乗っかってて、破れないか」
菅家「あの、ビニールでも。厚めっていいますか」
菅家「そいで、よく、しばりまして」
(ノックする音)
警部「うん。うん。そうか。よくしばった。うんじゃ、ちょっと待ってろ」
(録音中断。30分後に再開)
(1991年12月22日付『下野新聞』1面より)
(1991年12月25日付『下野新聞』1面より)