就業規則の周知
今回は「就業規則の周知」について解説いたします。
就業規則の周知は、会社にとって非常に重要です。
以下は、効果的な就業規則の周知に関する一般的なアプローチとなります。
〇印刷: 就業規則を印刷し、従業員が参照できる形で配布します。従業員が就業規則を理解しやすくするために、明確で簡潔な言葉を使い、必要な場合には図や例を含めることが重要です。
〇トレーニング: 全ての新規従業員に対して、入社時に就業規則を読んで理解することを義務付けます。新規従業員トレーニングの一環として、就業規則の内容や重要なポイントについて従業員に説明します。
〇定期的な再確認: 就業規則の内容や変更点を定期的に再確認し、従業員に周知します。変更があった場合は、変更内容を明確に伝えるために従業員に通知します。
〇コミュニケーション: 従業員に対して、就業規則に関する質問や疑義を解決するためのコミュニケーションチャネルを提供します。従業員が就業規則に関する疑問や懸念を遠慮なく提起できる環境を整えます。
〇罰則と執行: 就業規則に違反した場合の罰則や処罰の明確な方針を示し、違反があった場合には厳格に執行します。一貫した執行により、従業員は就業規則を守ることの重要性を理解し、遵守するよう促されます。
以上の手順を踏むことで、従業員が就業規則を理解し、遵守することが期待される状況を整えることができます。
個別に締結する労働契約では詳細な労働条件は定めずに、就業規則で統一的な労働条件を設定することが働くルールをスムーズに運営できます。
労働契約法7条は、労働契約において労働条件を詳細に定めずに労働者が就職した場合でも、就業規則で定める労働条件によって労働契約の内容を補充し、労働契約の内容を確定する(平24・8・10基発0810第2号)としています。
合理的な内容の就業規則を周知していれば足り、本人が実際に読んだかどうかは関係がありません。
周知の方法は労基法に基づく3つの方法に限られません。
一方で、労契法とは別に、使用者は、労基法に基づき就業規則等を周知する義務を負います(労基法106条)。
労基法の周知は、3つの方法(労基則52条の2)に限られています。
労働者の請求があった場合に見せる方法でも備え付けているものと解して良いかについて、これまでの行政解釈(平11・3・31基発169号)では、「労働者が必要なときに容易に確認できる状態にあること」が必要としていました。
令和6年4月から、労働条件の明示に関するルールが変更されました。
労働契約関係の明確化等に関する行政解釈(令5・10・12基発1012第2号)で、周知の要件に追加がありました。
具体的には、使用者は、就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等により、就業規則を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要があるとしています。
厚生労働省のモデル労働条件通知書には、「就業規則を確認できる場所や方法」を記載する欄が設けられました。労働局が示す例として、社内イントラネットに掲載、共有フォルダに格納する等の方法が挙げられています。