言葉の力 第十話 | うつ病予防の為に~一銀クリニックブログ「心の処方箋」

うつ病予防の為に~一銀クリニックブログ「心の処方箋」

平成25年、沖縄タイムスにて好評連載後、書籍化されたメディカルエッセー『心の処方箋』。
その著者、一銀クリニック院長の城間功旬が、うつ病予防の提案として“言葉の力”をお届けします。
皆様の心の悩みを軽くする読むクスリになれば幸いです。


テーマ:

「精神的エネルギー保存療法とは・・・」 その1

 

 第八話で精神的エネルギーが減少し過ぎると、うつ病を発症する事を、エネルギーのダムの水に例えて説明した。そして、うつ病からの回復にはそのエネルギーレベルを上げて元に戻せばよいと説明した。

 

 そのダムのエネルギーレベルを絶えず高いレベルに保ち、うつ病発症レベルまで減少しないよう工夫する事を、私は「精神的エネルギー保存療法」と呼んでおり、次の二つの、「放電系」と「充電系」に分けて考えている。

 

1. 放電を抑制しエネルギーレベルの低下を防ぐ方法。ダムの底の開いた穴を塞ぎ、そこからのエネルギーの放出を止める事。これをやらないと穴の開いたバケツに水を注ぐのと同じで、いくらエネルギーを注入しても、水位は上昇しない。
2.充電し入ってくるエネルギー量を増やす。エネルギーのダムの水位が上昇する。

 

 これらはうつ病発症の予防になり、治療にもなると私は考えている。
 今回は、1.の放電系について話す。(2.の充電系は次回の第十一話で)

 

 私がうつ病の患者さんを多く診察しているうちにまず初めに気づいたのは、多くの患者さんが、ご本人は「考えている」と思っている事が、客観的に見ると実は「気を病んでいる」と言う事実だった。「気を病んでいる」ために堂々巡りの思考をして、エネルギーを大量に放出しうつ病を発症しているのだった。それで、エネルギーの放出を抑える事が出来るよう「今に集中」して生活する訓練を繰り返し指導して、「消エネ」で生活出来るようになり、多くの患者さんが回復していったのである。


 さらに臨床を続けていると、気づいたのは「気を病む事」だけでなく、「不安」「人目を気にする」「完璧主義」「人との和が一番」「他者への怒り」「自分への怒り」「嫉妬」「悲哀感」「喪失感」等も、これらは「気を病む事」と同じくらい心の振動(揺れ)が大きく、大量のエネルギーを放電し、うつ病を発症する事が見えてきた。

 

 これらの十項目に気づいた時、まるでオーディオのグラフィックイコライザー(音量で上下に揺れ動く何本かの棒グラフ)を見ているようであった。


 これら十項目全てが、大なり小なり、全ての人々の心の中にあるため、これら一つ一つの心の振動により失われるエネルギーの消耗の総和が問題なのだと気づいた。そうであれば、逆に、一人一人の患者さんにおいて、これら十項目の心の振動を減らすことで、全体としてのエネルギーの消耗の総和を減らす事が出来れば、うつ病の予防・改善する事が出来ると思うようになった。その工夫の実践を、私は「精神的エネルギー保存療法」と呼んでいるのである。

 

 まず、あなた自身の精神的エネルギーの総消費量を知るために、次の図1.を例にして、図2.をプリントアウトして、書きこんでみてください(全く無い~最も強いの五段階評価です)。その総合点があなたの精神的エネルギーの総消費量です。これら十項目のそれぞれを、少しずつ減らしていく工夫をする事で、あなたの中に残るエネルギー量が増えるために、元気で生活がし易くなると思います。

 

 

 


 放電を抑えるための、これら十の項目への対応の仕方については、第十二話以降に、一項目づつ症例を挙げて説明する。次回は2.の充電系(エネルギーを増やす)についてです。

 

イラスト:ウエズタカシ
 

城間 功旬さんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります