言葉の力 第八話 | うつ病予防の為に~一銀クリニックブログ「心の処方箋」

うつ病予防の為に~一銀クリニックブログ「心の処方箋」

平成25年、沖縄タイムスにて好評連載後、書籍化されたメディカルエッセー『心の処方箋』。
その著者、一銀クリニック院長の城間功旬が、うつ病予防の提案として“言葉の力”をお届けします。
皆様の心の悩みを軽くする読むクスリになれば幸いです。


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エネルギーのダムの管理をしっかりして、うつ病を予防しよう

 

私がうつ病の患者さんへの、症状発生のメカニズムと治療について説明する際の例え話が二つある。

 

例えの一つは、車のヘッドライトをつけっぱなしにして置いていたらどうなるかという例え。
バッテリーが上がってしまい、故障ではないがエンジンがかからず、クーラーも使えなくなると説明する。

 

もう一つの例えは、これが最も重要な例えであるが、まず、エネルギーのダムというのがある事を想像してもらう。
このダムにエネルギーがいっぱいであれば、皆、元気である。

 

ところが、朝から晩まで寝ながらも一日中心配をしたり、馬車馬のように働き過ぎて、エネルギーを使い過ぎたために、ダムの水位がどんどん下った結果、ダムの底のゴツゴツした「岩」が見えてくる。
この「岩」が、うつ病の症状である(憂うつ、おっくうで元気が出ない、興味・関心の低下・集中力がない、等)。
 
だから、うつ病の症状を消すためには、出ていくエネルギーの量を減らし(考え過ぎる事をやめて切り替える)、入ってくるエネルギーの量を増やす(休養・内服・気分転換・散歩等)事が大切である。
こうすれば、自然にエネルギーのダムの水位が上がってきて、うつ病の症状である「岩」は、再びダムの水の底へと沈み、症状は消えるのである。
これがうつ病の治し方であると患者さんに説明をする。

 

ここまでは前置きで、これからが、今回のうつ病の予防の本論である。
このように、エネルギーレベルの低下がうつ病を発症させるという事が理解出来れば、うつ病の予防は可能となる。

エネルギーレベルの低下の症状(心と体からのメッセージ)に「気づいて」、これ以上エネルギーのダムの水位が下がり過ぎないように、ダムの水位をしっかり「管理」出来ればよいのであるから。

 

エネルギーのダムの水位の管理の方法の例を示す。
これは、私自身が28年前、開院してしばらくして、うつ状態になった時に、必死でどうにか体調を立て直そうとして、苦し紛れに以下のように、自分の体調を毎日ノートに簡単に記録して、コントロールしようとしていた。
そして、立て直すのに、半年ほどかかったと思う。

当時は、始めは私自身、自分がどうなっているか全く解らない状態であった。
体調の記録により、「これは心と体からの自分へのメッセージである」と気づき、自分の状態を把握する事が出来た事で、徐々に体調をコントロール出来るようになっていった。
 
その体調の記録の仕方を説明する。

 

まず、自分の調子を1から10までの十段階に分けて評価する。
1が最悪で元気がない状態。5がまあまあ普通。10はとても調子が良いである(10点満点)。

 

この自己評価を毎日ノートにつけて、4以下にならないように気を付ける事。
出来るだけ、5、6以上に保つように生活を心がけるのである。
そのためには、きついと感じた時は無理して何でも完璧にする事をあきらめることにした。
仕事の考え事も仕事を離れたら、考えるのを減らすようにした。
効果はすぐには顕れなかったが、このような工夫を続けているうちに、波がありながらも、半年一年もすると、徐々に安定してコントロールする事が出来、調子も良くなってきた。
疲れて調子の悪い人は、ぜひ、試してみてください。

 

これだけでも良いのですが、さらに、自分の「ストレスのバロメーターである体の症状」を略記号で、そばに併記すると、さらに自分の状態が解り易くなり、症状を軽減させ易いと思います。

体の症状は「痛み」と「だるさ」だけでも良いです。
頭痛は「ズ」と書き、肩こりは「カ」、腰の痛みは「コ」、だるさは「ダ」と、自分のストレスの体の症状の頭文字をカタカナで併記してみてください。

 


これらの記録をつける事で、一カ月単位でも、自分の調子を客観的に振り返って見る事が出来るので、「気づき」につながり、気がつけば改善するよう工夫が出来るため、エネルギーのロスが減り、「エネルギーのダムの水位の管理が出来る」ので、うつ病の予防が出来ます。

 

イラスト:ウエズタカシ

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