寓話 第一話 | うつ病予防の為に~一銀クリニックブログ「心の処方箋」

うつ病予防の為に~一銀クリニックブログ「心の処方箋」

平成25年、沖縄タイムスにて好評連載後、書籍化されたメディカルエッセー『心の処方箋』。
その著者、一銀クリニック院長の城間功旬が、うつ病予防の提案として“言葉の力”をお届けします。
皆様の心の悩みを軽くする読むクスリになれば幸いです。


テーマ:
魔女からの第三の目

ある日、魔女が私の目の前に現れ、「未来のあなたの姿を見てみる?」と言った。
「もちろん見てみたい」と答えると、目の前に、90歳くらいの年老いた元気な私の姿が見えた。
「おお、90歳までも生きられるのか。すごい!」と言うと、魔女は「バカじゃないの。あなたの周囲をよく見てごらん」と言う。
確かに周囲には誰もいず、私はテレビと話しているのだ。
「私の周りには誰も寄り付かないのか?」「そうよ。自己中心的に生きたあなたに、皆、嫌気がさして遠ざかり、テレビだけが唯一の話し相手なのよ」。

自己実現を目指して、自分一人の生き方を追求した事が、こんな人生の終わりを迎えようとは思いもしなかった。
「どうにか、変えられないのかね」と魔女に聞いた。

「そうね。一つだけ方法があるわよ」「何だね?それは」「この『第三の目』を額に付けてごらん、そうすると人生が変わるかもよ。この第三の目は人からは見えないから心配しないで」。
少し不安だったが、一週間だけ貸してもらうことにした。
魔女は消えていった。

すると周囲の見え方が変わってきた。
それまで、自分の事にしか目がいかなかったのだが、自分同様周囲の人の事に目がちゃんと行くのだ。
朝食時、自分のおかずばかり見ていたのが、家内のおかずまであるのかちゃんと見るようになった。
子供達の行動も見るようになり、何をして欲しいのかも解り、時間を作って付き合うようになった。
友人とも時々会って話すようになった。
社会にも目を向け困っている子供たちへの寄付をするようになった。
それまで気づけなかったが、相手に目が行く事で、何をして欲しいかに気づけ、相手を大切にすることが出来るようになったのだ。
自分と他者が別でなく一つに感じるのだ。
自己を超えた別世界、自他一如の世界に入れたのだ。

一週間して魔女はやってきた。
「どうだった」、魔女は聞いた。
「そうだね。自己の殻を破れないと見えない世界を体験させてもらったよ」。
「もう一度あなたの未来を見てみる」。
「いや、もう、大丈夫です。有難う」。
魔女は微笑んで消えていった。

寓話001

イラスト:ウエズタカシ

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