20代最後の夏。
とてつもなく平凡な感じ。
新しさを感じる機会が減ってるからかな。
久しぶりにやるなら、絶対後悔する徹夜で朝を迎えるやつ。
笑いながら飲みながら。
なんてことタラタラ話してたらさ、
夏が終わるやん。
いつかの夏のあの日は無知過ぎて楽しかった。
また来ると信じてるんだ、今でも。
10年に1度とかだろうけど(笑)
もう何歳でもいーや。
夏は夏だ!
頭の中でぼんやり夢を見ながらクーラーの効いた部屋で寛ぐ。
平凡に過ぎてくな、今年の夏も!
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ん?そーいや誕生日夏だったような…
「あれ、もしやもうちょいで誕生日?」
「うん、あさって」
「まじか!!!!」
海上まっただ中で気づいてしまった…
そうか、おまえは島の中心で誕生日を迎えるのだな。
しかも20代最後の日に縄文杉を拝めて、
30代最初の夜にウミガメが見れるなんて、最高やん。
…お隣、わたしでよろしいのか?
「毎年誕生日にスイカ食ってんだけど…島にないよね?」
「たぶん…あってもマンゴーじゃね?」
「…縁起物化しつつあったのに」
色気のない会話の応酬。
…お隣、わたしでよさそうだね
なんにせよ翌日、
10時間かけて29歳♀×2は命をかけて山中を歩き続けた。
「こ…これ…だめなやつや…」
何度引き返そうとしただろう(そいつが)
「ちょっとたんま、み、水…」
何リットル飲んだだろう(2.5はいった)
縄文杉の幹が見えた瞬間、
「やばい、泣きそう」と言った3分後、
いざ到着したそいつは冷めた視線で大木を眺めていた。
こぼす水分が失われていたのか、わたしが隣にいたからか…
でも、おめでとさん。
30歳の夜はきれいな満月。
足元2メートル先にカメがいる。
「…」
なんも言えない。
産卵を終えて海に戻るカメの背中をただ見ていた。
「ゆみじゃなかったら登れなかった、よかった」
こちらこそありがとう。なんて照れくさくて言えない!
「…あ」
「なに?」
「…これあぐる。30歳おめでと」
白熊山の中腹に申し訳程度に刺さった練乳まみれの赤い果実。
まさかここで出てくるなんてね、やっぱあんたにとって縁起物だ。
「味が薄い」
「やっぱこっちマンゴーだしね」
…隣があんたで本当によかった
うちらが話すようになったきっかけってなんだっただろう。
なーんか、いつの間にか大人になっちゃってさ、
中身がついていかなくてちょっと困るけどさ、
付き合い方はめっぽう大人になっちゃってさ、
でもあんたは全然変わんない。
18歳のうちらと30歳のうちらの4人で話してるみたい。
旅はあっという間に終わった。
近くの高校で17時のチャイムが鳴ってる。
「若者のすべて」みたいだ。
まぁ、運命なんてだいそれた言葉じゃかっこつかないけど。
竹馬の友のほうが昭和生まれの田舎育ちにはしっくりくる。
うちらにとっての最後の花火はどっちかがくたばる時だな。
それまではそのまま、お互いの道を歩き続けよう。
たまに一緒のレールで遊びつつ。