あの部屋に力いっぱい豆を投げたい。
「豆なんて生ぬるい、パチンコ玉だ」という同僚もいた。
あいつの中には鬼が住んでいる。
そろそろ退散させねばならぬ。
日本の伝統文化にのっとって、
鬼と戦うときがきたようだ。
「でんろく」製の面をつけてくれ。
あんたに落花生を全力でぶつけようぞ。
社長さん。
あんた、調子にのりすぎたようだな。
下剋上のときは刻一刻と近づいているぞ。
いざ!
「ちょっときてくださぁぁぁい!」
…
「ちょっとぉぉぉぉ!聞こえてんのぉぉぉ!?」
「はぁぁぁぁぁぁーーーい!」
この世に桃太郎はいない。
せちがらい時代に、
きび団子くらいじゃ猿も犬もキジも加勢してくれない。
「おにはぁーそとっ!ふくはぁーうちっ!」
誰もいない闇に豆をまき、見えない敵と戦っている。
テレビに背を向けて、黙って太巻きに食らいつく。
かつては鬼も人間だった。
人間は誰でも鬼になる可能性がある。
少なくとも世間のお母さんは、
畳いっぱいに散らかった豆を見て、
青筋立てて黙って鬼になるに違いない。