かつて、
標準語を話すようになった友人が嫌だった。
都会に染まってしまったような気がして。
よそよそしさや距離を感じて寂しかった。
「 郷に入れば郷に従え 」
今になってものすごく理解できる。
標準語を話すのは、
地元を愛さなくなったのではなく、
何かに染まったわけでもなく、生き残る術だ。
それをわかってあげられなくて悔しくて、
それをわかってあげられなくてごめんね。
帰る場所の数だけ人生がある。
言葉や習慣や考え方がある。
あれから彼女はすみかをひとつ減らした。
言葉も元の方言に戻った。
わたしは帰る場所がみっつに増えて、
彼女は変わらず優しい。