若い頃、
「こうなれたら幸せだろうな」
と思っていたものがあった。
好きな仕事をすること。
結婚すること。
家庭を持つこと。
自分の家を持つこと。
ある程度のお金を得ること。
人から認められること。
もちろん、
望んでいたものは人それぞれだけれど、
その頃の私たちは、
「これを手に入れたら幸せ」
というものを、
今よりも分かりやすく持っていた気がする。
そして、
そこへ向かって頑張ってきた。
手に入れたものもある。
思っていた形とは違ったものもある。
途中で諦めたものもある。
それでも、
その時々で選びながら、
ここまで歩いてきた。
でも、
あるときふと思う。
「私、今もこれが欲しいのかな?」
昔は、
仕事で認められることが嬉しかった。
でも今は、
自分の時間の方が大切かもしれない。
たくさんの人とつながることが楽しかった。
でも今は、
本当に心を許せる人との時間を大切にしたいかもしれない。
何かを手に入れることより、
穏やかに過ごせる一日の方が、
心地よく感じるようになったかもしれない。
それは、
夢がなくなったわけでも、
意欲がなくなったわけでもない。
幸せだと感じるものが、変わってきただけ。
なのに私たちは、
昔決めた「幸せ」を、
ずっと追いかけてしまうことがある。
もっと頑張らなきゃ。
もっと結果を出さなきゃ。
もっと充実させなきゃ。
そうして、
昔の自分が欲しかったものを
今の自分にも与え続ける。
それでも満たされないと、
「まだ足りないんだ」
と思って、
さらに何かを足そうとする。
でも、
足りないのではなく、
もう欲しいものが変わっている
としたら?
必要なのは、
もっと手に入れることではなく、
今の自分に合わなくなった
「幸せの基準」を見直すことなのかもしれない。
年齢を重ねると、
失うものもある。
できなくなることもある。
でも同時に、
若い頃には分からなかった
自分の心地よさも分かるようになる。
何を大切にしたいのか。
誰と過ごしたいのか。
どんな時間が好きなのか。
何なら、もう頑張らなくてもいいのか。
そんなことが、
少しずつ見えるようになってくる。
だから、
昔描いた未来と
今の自分が違っていてもいい。
昔の夢を、
ずっと夢のまま持ち続けなくてもいい。
今の自分に、
もう一度聞いてみる。
「今の私にとって、幸せって何だろう?」
すぐに答えが出なくてもいい。
昔の答えではなく、
今の自分の答えを探してみる。
「何かが足りない」と感じるときは、
もっと何かを手に入れるためではなく、
自分にとっての幸せを、選び直す時期に来ている。
そんなサインなのかもしれない。


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