大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。
実は僕らはこんな会話を。
その日の夜更け…
智さんのベッドの中でしたんだ。
…気持ちが通じたその日に…
こんなことに、なっちゃうなんて。
やっぱりちょっとお手軽というか…
また順番を間違えているような気がして。
僕はそれなりに抵抗したんだ。
でも…
智さんという人は。
想像の数十倍は肉食で。
クソが100個つくほどに甘々で。
びっくりするほど根気強くて、びっくりするほど頑固だった。
夜空に瞬く星の数ほど…
無数のキスを僕に落とし。
触れていないところが見つからないほどに、僕の全てに優しく触れる。
こうなることが、本当の僕らで。
僕らはこうなるべきなんだと…
智さんは時間をかけて教えてくれた。
もう触れ合っていないところがないほどに重なり合う。
一つになることこそが、自然と思えた。
そうして、あっという間に…
いやいや、ようやく、やっと。
僕らはひとつになった。
急転直下だけど…
経験したことがないほどに時間をかけた交わり。
そんなセックスを体感したら、どーにもこーにも、逃れられない。
二人で過ごす、ベッドの中は…
想像すらしていなかった、ハチミツみたいな空間だった。
散々お互いを知り、知られ…
探り合い、貪り合って、重なり合う。
智さんは言った。
「付き合った期間とか…」
「始まりからの時間なんて」
「…そんなのどうでもよくねぇか?」
見上げる僕の、額にちゅ…と。
綿菓子みたいなキスを落とす。
「ゆっくり近づく必要なんかねぇ」
「俺の願いは…」
「寸歩不離、だから」
「…もう距離は、いらねぇ」
「…俺はそう思ってるけど」
「…おまえは、どうだ?」
そんな風に言われたら。
僕もそうだ、と言うしかない。
僕は…
あの日、智さんが貸してくれたTシャツよりも。
ずっとずっと…
近くに智さんを感じながら。
思いきり、彼の胸に、飛び込んだ。
そう。
僕らの世界は。
側から見れば歪な世界、なんだろうけど。
でも…
僕らにとってそこは…
子ども達の願い事みたいに。
優しくキラキラと、輝いている。
*これにて「催涙雨」終了でーす!
お付き合い頂き、ありがとうございましたー