大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。



蓮さん家
登場人物紹介」
上がっております✨✨

ぜひぜひこちらもご覧くださいラブ下矢印下矢印




先にこちらをお読みください♡




本日より
「過去解決編」
始まりまーす♪







和也 20



フーマ「…おはようございます」


能面のような無表情の顔が目の前にあって、意識がクリアになったことに気づく。



またか…
また、やったのか…


はぁ…とため息をつく。



よく眠れるとは、聞こえはいいが。


こんな無防備な姿を…
父上の手下にまで見せるとは…


とんでもない醜態を晒しているようで僕は…
腕で顔を隠しながら呟いた。



和「…いま、何時だ?」



フーマ「…辰三つ*に、ございます」
(*AM8時〜8時半くらいのこと)



冷徹な、いつもと同じ声に…
内容を聞き逃しかけるが…



和「…辰、三つ?!!」



僕は大声をあげた。



シーツを身体に巻きつけて…

慌てて身体をベッドからひき剥がす。



和「もうすぐ青龍門が開くではないか!」
「なぜもっと早く起こさない!!」



フーマ「…大変よくおやすみでしたので」



僕の怒鳴り声にも、顔色一つ変えず…
フーマはそう言った。



返す言葉のない僕は…

ぐっ…と言葉を飲み込んだあと…
こう叫んだ。



和「風呂に入る!!」








一瞬で身支度を整えるが…

結局食事をとる時間がなかった。



公務中…

グゥ…ギュルル…

腹の虫が鳴る。


要人達は、一瞬動きを止めるが…
皆聞かなかったふりをしている。


たまらず水を飲む。


腹が減るなど…
一体いつぶりだろうか。


僕は、あんなに死にたかったはずなのに。


生きるために最も必要な食にまで欲を持ち始めている自分に…


驚きを隠せなかった。






目の前に置かれた文思豆腐(ウェンシィドウフ)
細切りにされた豆腐が、貝柱と金華ハムでとられた出汁の上に渦を巻く…
大変美しいスープ。


しかしどんな料理も…
幾人もの毒見係のチェックを通過して、やっと僕らの前に運ばれてくるから…
いつも、全て冷め切っている。


見た目は美しくとも…
美味いと思ったことなどない。


でも今日は…
そのスープを見るだけで、ゴクンと喉が鳴った。



目の前にきてなお、最後の毒見係がチェックしている。

一体いつまで待たせる気なのか。

僕は平静を装いつつも…
目の前の椀の中に飛び込まんばかりの気持ちで…
その時を待った。


ゴーサインが出る。
昼飯の饅頭(マントウ)を鷲掴んで…
一気に口に入れた。


優しい甘さと柔らかさが、口の中に広がる。


ずずっと啜った文思豆腐の繊細な塩味を、空腹で過敏になった舌が捉えて…


僕は思わず「美味い」と、呟いた。





*次回は本日18時
蓮さん家(智サイド)
です!