牛田ニュース 平成24年4月号(373号)「たいまつ」 | 碓井法明オフィシャルブログ「本物をやろう!!」Powered by Ameba

牛田ニュース 平成24年4月号(373号)「たいまつ」

 先日上京した時に友人の元外務大臣の高村正彦議員の紹介で今問題になっている東日本大震災で発生したがれきの広域処理について環境省の担当課長に面会できる機会があった。
(1) がれきの広域処理について
 当局によると災害廃棄物の処理は福島県は別として岩手県約476万㌧(約十一年分)宮城県約1569万㌧(約十九年分)のがれきがあり、被災地の復旧・復興のために迅速な撤去・処理が必要。被災地で仮設焼却施設を設置し処理しているが、なお処理能力が不足しており、放射能濃度が不検出又は微量のものに限定して各県市でマスタープランにより平成二十四年三月末までに仮置場に、平成二十六年三月末までに中間処理施設・最終処分をしてほしい。被災地では今なお処理が追いつかないまま仮置場に放置されているという。国の復興事業は遅れている。
(2) 放射性物質汚染対処特措法に基づく指定基準は 
 8000 /㎏これは廃棄物を安全に処理するための基準でそれ以下の廃棄物は従来と同様の方法により安全に焼却したり、埋立処分することが可能。焼却灰の放射線濃度が8000 /㎏を超えた場合は特別な処理が必要。広域処理により焼却する場合はそのようなことがないよう対象とする廃棄物の目安を240 /㎏としている。原子炉等規正法に基づくクリアランス基準(100 / ㎏)は廃棄物を安全に一般社会が再利用できる基準として100 /㎏とした。以上二つの基準の違いなどの話を聞いた。
(3) 三金会・市政を語る会・火曜会の主催の「がれきの広域処理」の勉強会  
 国の中国四国地方環境広島事務所の所長さんと廃棄物対策調査官又広島市の環境局を講師に迎え約120名の参加を得て熱心に意見が交換された。その主な内容は①広島は世界最初の被爆地として積極的にがれき受け入れをすべき ②国の放射性物質の処理基準や処理の安全性等が不明確だ ③安全性についてもっとわかりやすく説明が必要 ④がれきは本当に8000 /㎏以下なのか ⑤広島の原爆の放射能と福島原発の放射能はどう違うのか 広島人は被爆したが現在元気な人もいる。原爆ドームの放射能汚染はどうなのか ⑥広島の受け入れ処分地の容量や可能性はどうなのか ⑦がれきの中にはアスベストやPCBなど有害物質が含まれているのではないかなど色々意見が出された。
(4) 広島市議会が採択したがれきの受入れに関する決議       
 「世界初の被爆から国内外の援助により復興・発展を遂げることができた広島市としてはこの度の被災地の現状を看過することはできない。市民の安全・安心を確保したうえで援助の手を差し伸べる必要がある。広島市としては科学的な知見により放射能の影響を検証し、放射線量の測定等充分な体制を整えることを条件に、有害物質が除去されているがれきについて受入れ表明を要請する」とし、それを決議した。
(5) 松井市長も概ね同じことを細野環境大臣に回答 
 ただ現在の県と国との結果を待って復興支援に取り組む重要性と市民の安全性の確保の必要性に配慮した対応策を検討していきたいと述べているが、結果を待つのではなく一日でも早い解決策を見出し、その為には市長自ら現場を知るための現地視察や桐生市など他都市が既に行っている試験焼却を参考にすべきだ。135万㌧のがれき処理をした仙台モデルを学ぶべきだ。
(6) がれきの大部分は被災地で処理をという意見もある       
 勉強会でも指摘されたように広域処理も必要だが、域内で防潮林や防風林のマウンド造りに使用したり、最終処分地や焼却工場を造る価値を生み出したり、そのため高い値段で現地を国や県が買い取ったり、土地の有効利用も考えられる。岩手県の岩泉町長は二年で片付けなくても十年・二十年かけて現地で片付けたほうが地元に金が落ち雇用も発生する。もともと使っていない土地がいっぱいあり、処理されなくても困らないのに税金を青天井に使って全国に運び出す必要がどこにあるのかと言う厳しい意見もある。
(7) 広島市としては両論あるが早期に同時に市長と議会のリーダーシップにより行動を起こすことが大切だ  
 この度の勉強会を終えて国・県・市がもっと綿密に連携して市民説明会を開催すべきだと思った。広島市も大災害対策で安全安心のまちづくりが必要だ。ところで、ぐずぐずしてこれらのがれき処理が早期に解決できないとなると脱原発やNPT(核不拡散条約)広島会議の開催をする考えだが世界市民がどのようにみているか本気になって考えなければいけない。それが問題だ。