小説「火花」の感想 | 文化の海をのろのろと進む

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 うしずのです。

 

 さて今回は、文庫版も出たし、映画化もされて公開しているし、「いまさらかーい!」と、ツッコまれそうですが、小説「火花」の感想を書かせて頂きます。

 かなり読まれている作品ではございますが、なるべくネタバレが無い様にしたいと思います。が、どうしてもネタバレがある場合はそう書かせて頂きますので、未読の方は適当に読み飛ばすなりして頂ければと思います。

 

 

 また、「コイツどんな了見で感想を書いてんねん」と、お思いで、お時間のある方は、前回の記事ではありますが、こちらをお読み下さい。→私が感想を書く上での基本的なポリシー

 

 

「火花」 又吉直樹著 文藝春秋

 

 

あらすじ

 あらすじを書くと、かなり長くなってしまいます。主人公は売れない漫才師、徳永です。彼は、ある祭りで共演した、こちらも売れない漫才師である神谷の破天荒なキャラクターに惹かれ、弟子入りするのですが・・・。という感じです。

 

 

 

ボケの反対はツッコミではない

 愛の反対は憎しみではなく無関心などと言いますが、ボケの反対はツッコミではなくボケをスル―する事だと思います。誤解なさらないで下さい。ボケが愛で、ツッコミが憎しみだと言っている訳ではありません。

 ただ言えるのは、ボケとツッコミは表裏一体で、どちらか一方だけで存在出来るものではないという事です。

 

 この作品にはボケツッコミが多く出てきます。実際の漫才の場面はもちろんです。そして、多分ではありますが、展開的にもボケてるんじゃないかと思える場面があり、私は読みながら心の中で「又吉先生、このシーンいります?」とかツッコみながら読んでいました。正しいツッコミかどうかは分かりません。

 

 

 

青春小説として

 ちょっとネタバレ的ですが、主人公がエキセントリックな人物と出会い、自分の生き方を模索し始める。苦悩し、挑戦し、挫折し、別れがある。青春小説としては、良く言えば王道的シチュエーションです。悪く言えばシチュエーション的にはいくらでも似た作品はあったと思います。

 では、この作品ならではな要素は?と言えば、やはり漫才を取り入れている事です。しかも本物の芸人さんが書いているだけあって、笑いを産み出す作業の裏にある苦悩や恐怖が生々しいリアリティーを持って描かれている所です。

 

 

 

神谷というキャラクターについて

 主人公が師と仰ぐ神谷という男は、漫才をやれば形式をぶち壊す様なネタを披露し、プライベートでも何をやりだすか分からない破天荒なキャラクターです。常に芸人として生きている者と言っていいかも知れません。そんな彼ですが、たまに優しさや弱さが垣間見えるので、何か憎めないのです。

 

 ちょっと話は変わりますが、私も小説を書いていた事があります。(人様にお見せ出来る様な物は書けませんでしたが)小説を書いていると、キャラクターが勝手に動き出す事がありました。思ってもみないセリフを言いだしたり、想定外の行動をとったり、独立した人格を持っているかの様に、アドリブで動き出すのです。大抵そういうキャラクターは、自分とは真逆の性質を持ったキャラクターでした。

 これは推測ですが、又吉先生にとって神谷はそういうキャラクターなのではないでしょうか?「わ!コイツ何してんねん」とか「こんなこと言うんか」などとツッコミながら書いていたのではないかと想像してしまう私でした。

 

 

 

 

読まれた理由①話題性

 散々、話題になり売れた作品なので、その部分の分析もしておこうかと思います。

 やはり、お笑い芸人で本好きとしても知られている又吉さんが書いたという話題性は、外せないでしょう。

 しかもデビュー作が文芸誌に載ったのは、お笑い芸人では又吉さんが初めてだった筈です。その上、芥川賞受賞、ドラマ化、映画化と話題には事欠きませんでした。

 

 

 

読まれた理由②笑いとシリアス

 漫才の場面や、徳永と神谷のやり取り(漫才になったり、大喜利になったり)は楽しく読み易いでしょう。その反面、主人公の語りに深みのある言葉が散りばめられていて、感心させられます。また、ジーンとさせられる場面もあり、その笑いとシリアスの振れ幅の大きさが作品を魅力的にしていると思います。

 

 

 

読まれた理由③文に滲み出る人間性

 この作品は一人称で書かれているので余計に、作者と語り手を同一視するべきでは無いのかも知れませんが、「文は人なり」と言う様に文章には書き手の人間性が全て出てしまうものです。この「火花」という作品の文体からは、又吉さんの純粋さや優しさが滲み出ています。読み手の多くはこの作品を愛さずにはおれなくなるのではないでしょうか?

 

 

 

 

女性の描き方

 描き方という見出しにしましたが、正直、女性を描けていないと言っていいかも知れません。

 登場する女性のキャラクターは皆、芸人である自分達を理解し、出しゃばらず、そっと見守りサポートしてくれ、邪魔しないで欲しい場面ではいなくなってくれる。そんな人ばかりです。都合が良いのです。

 勿論、この小説の主題は女性を描く事では無いので、背景になっていても問題は無いのでしょうけれど・・・。

 

 

 

私が一番好きな場面

 これもちょっとネタバレなのですが、徳永が組んでいる漫才コンビ、スパークスの最後の漫才のシーンです。凄く感動して、3回位繰り返して読んでしまいました。こんな泣ける漫才はありませんよ。もの凄く優しくて、切なくて、胸がかきむしられるような気持になるんです。読了後もここだけ再読する程好きです。何度読んでも感動する場面です。

 

 

 

 

 

 ハイ。ここからネタバレになります。まだ読んでいないので知りたくないという方は、この先は読まないで下さい。

 

 

 

終わり方にツッコミを入れたい

 私はこの小説の終わり方に納得がいっていません。ですからこれからツッコミを入れたいと思います。

 では、ツッコミます。

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 あ、ツッコミます。って言ってからツッコむって漫才では無い事ですよね。そもそもツッコミはボケに対してタイミング良くする物であって、ツッコミますなんて断る事はありえないですよね。笑いには「間」というものが大切で・・・・・・・あ、「早くしろ」と思ってます?ツッコまれちゃいましたね。

 はい。ではツッコミます。

 

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オッサンがオッパイ揺らして終わりって、どないやねん!!読者をどんな気持ちにしたいんや!?

もうええわ。次の本も、読ませてもらうわ。

 

 

 私にツッコミたい方はコメントなさって下さい。

 

 

 最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました。