懐中温泉です、
道後湯治第四日目後半
https://youtu.be/6xQE1NIhhtA
この日は、少しだけ値段の高いコースを選び、
湯上がりに休憩室でお茶が飲めるように
しました。
湯そのものは、これまでと同じ透明で静かな
湯でしたが、湯上がりに畳の広間で座り、
窓の外の夕暮れを眺めながらお茶を
飲んでいました。
すると、「身体の内側の熱」が、いつもより穏やか
に、長い時間をかけて落ち着いていくのが
わかります。
「こういう“余白”があると、七日間が単なる
“湯と寝るだけ”の時間にならないね。」
結が湯呑を両手で包みながら言いました。
「うん。湯治は、“湯に入っていない時間を
どう過ごすか”も含めての技術なのかも
しれない。」
佐和がそう応じ、二人はしばらく言葉少なに
外を眺めていました。
夜:四日目のまとめ
宿に戻り、夕食をいつもどおり少なめにとって
から、結はノートに四日目の記録を書きました。
「四日目。
朝:湯なし。 昼:椿の湯一回。
夕:本館(休憩室付きコース)一回。
脚の軽さ:朝湯なしでも、脚の重さ・詰まりなし。
坂道を歩いても疲労感少ない。
眠り:三日目の夜、途中で目覚めても、
朝には完全に抜けている。
顔色:頬の血色が安定。鼻筋から頬への
色のつながりがなめらか。
目の下のくまは“影”から“薄い色”に。
肌:頬・すねともざらつきが減り、手の甲で
触れたときの引っかかりほぼなし。
目の周り・口元の乾きも軽減。
湯治の構え:湯に入らない朝を一度挟んでも、
“湯治モード”が崩れないことを確認。」
そして、最後に一行を書き添えました。
「道後四日目は、“湯に任せきりにしない
湯治”の入り口の日だった。」
ペンを置き、結は灯りを落としました。
暗がりのなかで、自分の身体と顔をそっと
探ります。
内側のどこにも強い声を上げる部分は
ありません。
外側にも、「どうにかしたい影」はずいぶん
減っていました。
「七日のうちの四日目で、ここまで“平ら”に
近づけるなら、この先、年に何度かここへ
戻ることで、自分の標準状態を保てるかも
しれない。」
そんな予感を胸に抱きながら、結は道後湯治
四日目の夜の眠りへと、静かに身を委ねて
いきました。
ご精読ありがとうございました。
懐中温泉
