早春賦をBGに音符




桜は散り際が美しいといわれているが
沖縄の桜はそうでもない。

花弁がひらひら散るのではなく
ぎりぎりまで粘って
萼筒と花弁が一緒になってポトリと落ちるので
散り際の潔さはなく、むしろ哀れさを感じさせる。

ayumuには、国家権力に虐げられても虐げられても
身を挺して抗う沖縄県人の生き様と重なって愛おしくなる。


沖縄の桜はシプタイザチ(しぶとく粘って咲く)である。

 
 
 

沖縄で桜と云えば
寒緋桜である。

 

Cerasus cerasoides  var. campanulata


タイワンザクラの別名があるように
 

台湾・ヒマラヤ・中国南部を主な分布域とし
石垣島の自生地は国指定の天然記念物になっている。

 

自生地は山の奥にあって車道からは
1時間ほどの道のりである。

 

うっそうと繁ったイタジイ林のちょっとした隙間に
数株の古木があった。

 

数十年も前のことなので記憶も定かではない。
 

桜よりも 隣のイタジイに着生していた
絶滅危惧種のカザリシダが印象的であった。

 

沖縄の桜の名所は
本部町の八重岳・今帰仁村の今帰仁城趾・名護市の名護岳で

桜前線は北から順に咲いて南下する。

一定の寒気が刺激になって開花を促すようで

沖縄本島では1月から2月にかけて桜祭りが行われる。
 

また、この時期はプロ野球のキャンプが始まり
他府県からの観光ツアー客も多い。


桜祭りは人出が多いので、隠れ名所(?)の
大宜味村に出かけたのは1月末日。
峠を越したのではと心配したが、まにあった。

今年は遅いようだ。

 

 

恐竜時代を思わせる木生シダ(ヒカゲヘゴ)とカンヒザクラは

ミスマッチのようだが興があって面白い。

 

沖縄のカンヒザクラを
カンヒザクラに比べ、花の色が淡く、花弁がやや平開する
萼筒が長めで濃紅色等々から
 カンヒザクラ群の園芸品種として扱い。





リュウキュウカンヒザクラ(琉球寒緋桜)
 Prunus campanulata 'Ryukyu-hizakura'
とする向きもあるが、連続的な変異があるので難がある。

 
後方の桜は本部町の200年桜
ソメイヨシノの寿命60~100年に比べると遙かに長寿
まだまだ元気な桜である。


蜜を求めメジロがやってくると立春。



 



三月から四月にかけて
楕円形をしたサクランボは赤紅色に熟する。

市販されているサクランボの半分ぐらいの大きさで
酸味がある。

小鳥が食べて種子を彼方此方と分散させるので
ナンクルミー(種子を播かないのに生えてくる)や
ウティミー(種子が落ちて生えてくる)が多く
桜の里は範囲を広げて彩りを増していく。