魂歴史ドラマ【五行大義】
これはフィクションです。
双子の魂のように~
頼朝さまの初めての奥さまは、伊東家の姫君、八重姫さま。
お二人は、まるで双子のように、互いの魂が響き合っておられました。
いつしか、お子さまが、授かり、安らぎのひとときが訪れました。
頼朝さまは、たいそう可愛いがられ、ずっとお子さまのそばにおられることが多かったのでございます。
「あー、こうして、またひとり、またひとりと子どもを授かり、
私が死ぬときには、まわりにたくさんのお子が私を囲んでくれたら、
他には、もう何も望まないけれど…。」
時々、少し寂しそうなお顔で、呟かれるのでした。
八重姫さまは、そのお言葉を、ただ静かにお聞きになっていたのでございます。
ほどなく、八重姫さまの父君が都より戻られ、
お二人と可愛いお子さまとの生活は、はかない泡のように、かき消されてしまうのでございました。
若い頼朝さまではございましたが、過酷な運命の中で、唯一、己自身の小さな夢を、口に出された幸せな時間でもございました。