『声』の残し方-いつかの、だれかに… -6ページ目

中村地区を行く‐記念碑は免罪符か?

家の近くに空港がある。伊丹空港だ。その北西部に「中村地区」と呼ばれる地域があり、昨日そこに行ってきた。

この「中村地区」には「記念碑」が建立されていた。その碑文から、この「中村地区」がどんな場所で、「記念碑」が何を「記念」しているのかがわかる。


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本事業(中村地区移転)の経緯

中村地区は、大阪空港北西に位置し、1940年から始まった大阪第二飛行場の空港拡張工事に従事した労働者(主に韓国・朝鮮人)の飯場が建てられ、戦後も、国有地に引き続き居住するという不正な状況から、生活環境等の整備が遅れ、適切な市街地形成がなされていなかった。

この問題を解決すべく、関係行政機関と地元自治会が一体となり住環境整備を図るべく協議・努力を行い、本移転事業が完成したことを記念して、この碑を建立する。


この移転事業は、2001年から2008年までを事業期間とし、156世帯361人が移転の対象になった。その完成を記念したのが、この記念碑だった(たしか「移転完成記念碑」と書かれていたはず。一部写真を紛失)。

移転の対象とされた人たちは、近くに建てられたマンションに引っ越した人もいれば、韓国に戻った人もいた。

この「中村地区」には、いま何もない。建物も取り壊され、「立ち入り禁止」の看板が掛かっていた。

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写真中央を走る道の左側が空港、「中村地区」は右側一帯。

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別の角度から撮った「中村地区」。

「中村地区」を歩きながら、台湾の都市原住民を思い出す。自分たちの部落から立ち退きを命じられ、移転(「安置」)がスムーズにいった例もあれば、いかなかった例もある。

こうした立ち退き・移転は、たぶん、どこででも行われている。その理由はそれぞれだろうが、ちゃんと居住者側と「合意」を取っているんだろうか(もちろん、それが「誰にとっての合意なのか」、「合誰的意?」という問題は残るにせよ)。

そう考えると、先の「完成記念碑」が、気になってくる。なんとなく、その合意が取れていますよ、と言わんばかりに、まぁとりあえず建てておきましょうか、というふうに私には思えてしまった。

また、移転が完成しても「はい、ここでその話・問題は終わりです」ということになりにくい。とくに居住者の人たちには今後も何らかの形で「しこり」が残る(と思う)。だとすれば、この「記念碑」が持つ意味はやっぱり大きいのではないか(何か不満があっても、もう問題は解決済みでしょ、といわれちゃう)。

この記念碑は、なにか・だれかの、免罪符?(いや、そうではないですよ、という意見もありました)。

そんなことを思いながらテクテクと帰路についた。

楽生院80歳イベント。

「樂生療養院開院八十週年紀念活動」が来週あります。行ける方は、是非。

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ああ、行きたいなぁ。

膨らむ楽しみ。

11月の中旬からほぼ2週間おきに発表・報告があって、来週には発表用の原稿を出さなければならず、また、コメントを一つ引き受けた関係で、ちょっと忙しくなってきた。年が明けてもなんやかんやある。

こうなってくると読みたい本は読めず、見たい映画は見られず、行きたい場所には行けずで、生活をもっと楽しみたいと思うのだけれど、これもまた仕方がないのか。

こんなことを思いながら、第七芸術劇場の上映予定を見ていると、「ゴダール映画祭2011」とか、「真!韓国映画祭2011」とか、「海炭市叙景」「玄牝げんぴん」が上映されるようだ。このほかにも面白そうな作品が上映予定になっている。が、その全てを見るのは無理だろう。

それでも、「樺太 1945年 夏 氷雪の門」と、これは七芸ではないけれど「沖縄から水俣へ-」で上映されるいくつかの作品は見に行こうと思う。

ああ、楽しみは膨らむばかり。

ランドセルを持つことが出来ますか?

クイズです。

まずは次の状況を想像してください。

「百人のうち一番身体の小さな一人に七十五人分のランドセルを持たせている。他の九十九人のほとんどはそのことに関心がない」

イメージできる状況としては、イジメ、でしょうか。

では、次に、何のことを言っているのか考えて欲しいのですが、その前に、これを書いたのは私ではないので、引用した本を紹介しておきます。

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知念ウシ『ウシがゆく』(沖縄タイムス社、2010)

さて、答えがわかりましたか?

分からなければ、「百人」を「日本全国」、「ランドセル」を「米軍基地」に置き換えて考えてみてくださいね。そうすると身体の小さいのは誰で、九十九人が誰なのか、分かると思います。

懺悔。

昨日は発表だった。これまで自分の「研究」について話す機会がなかったので、みんな聞いてもらった。自分の「研究」を振り返るいい機会になった。でも、なんだか、とっても疲れた。

1980年代後半「アイヌ肖像権裁判」があった。「研究」や「研究者」の倫理性が大きく問われた。

私が今いる場所は、「研究」をして論文にまとめることを目的としている。そして、自分で望んでこの場にやってきた。だから、自分の決めたテーマについて「研究」はするんだろうと思う。

ただ、「人」を、「研究」のために利用したり、材料にしたくないと思う。しかし、何をしたら利用したことになるのか、何をしなかったら利用したことにならないのか、その境界は、実は曖昧だ。

「研究」に対する距離感は、人それぞれ違う。このことを考えずに昨日は少しお喋りがすぎた。

いろいろと反省中。だから、これは、その懺悔。

久しぶりに聞きたくなった。

ロシアからの留学生とチェブラーシカの話になった。久しぶりにゲナの歌が聞きたくなった。歌えるようになりたいなぁと思える歌(日本語訳はこちらから)

県知事選は…?

沖縄県知事選挙の結果ですが、仲井真弘多さん再選確実とのことです。

うーん…。

国3、民2。

結果が出ました。

各地の当選者は、

台北市 郝龍斌(国民党)
新北市 朱立倫(同上)
台中市 胡志強(同上)
台南市 賴清德(民進党)
高雄市 陳菊(同上)

でした。詳しい結果はこちらをご覧ください。

選挙がありますよ。

今日27日は台湾で、明日28日は沖縄で選挙があります。

台湾の選挙は「5大都市」(台北市、新北市、台中市、台南市、高雄市)の市長を決める選挙で、2年後の総統選挙にも大きな影響があるだろうと言われています。また、中国との関係を近づけてきた馬英九政権への信任投票としての意味もあるでしょう。

そして、沖縄では県知事を決める選挙が行われます。言うまでもなく、普天間基地の移設問題が焦点になっています。今年は哨戒船沈没や漁船衝突で東アジアが賑やかでしたが、その背後には普天間基地移設問題が関係していたと私は思っています。

選挙の行方を気にしつつ。私は発表の準備に励みましょう。

北朝鮮を支持!というお話。

家に帰ってからテレビをつけてびっくりしました。北朝鮮が韓国に砲撃をしたとのニュースが流れていたからです。おもわず「ええ!?」と声をあげてしまいました。気になったので、いろいろと調べてみると、もっとびっくりしたことがありました。


台湾ではこの事件をどのように報道しているのか、まずは自由時報を見てみました。すると、北朝鮮の攻撃を支持するネットユーザーたちがいるようなのです。


http://iservice.libertytimes.com.tw/liveNews/news.php?no=435673&type=%E5%8D%B3%E6%99%82%E6%96%B0%E8%81%9E


この背景には、「楊淑君事件」をきっかけにして高まっている「反韓」感情があるようですが、びっくりを通り越してなんだかすごく悲しくなってきました。お腹がすごくすいていたのに、このニュースを知って食欲がイッキョになくなりました。


楊淑君の失格には納得がいかない部分もあるでしょう。北朝鮮の砲撃もいただけません。が、「楊淑君事件」を根拠に攻撃を支持する一部のネットユーザーたちは、もっといただけません。


一方で、こうも簡単に暴力を支持をしてしまう感情の動きやこれを支えている構造に、もっと敏感でいたいと思います。