機能性表示食品の安全性について | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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 売れプロ12期生で中小企業診断士の山下博司(やましたひろし)と申します。  

 昨今「機能性表示食品」の安全性が問われています。

「機能性表示食品」は2015年の制度制定後、高齢化社会の進展と健康ブームを受けて年々届出数が増加しており、昨年5月時点で延べ7000件を超す届出があり、健康食品市場の約9000億円市場のうち、約24%を占める2100億円規模の市場まで成長しています。届出等の簡便性から生鮮食品などでも表示可能となっており、大手企業だけでなく、多くの中小企業も参入してきています。
 

 そもそも「機能性表示食品」とはどんなものなのでしょうか?

日本の保健機能食品には、国の制度に基づいて食品に機能性を表示することができる食品が現状「栄養機能食品」「特定保健用食品」「機能性表示食品」の3種類が存在します。まずはそれぞれについて説明しましょう。


 「栄養機能食品」とは、特定の栄養成分の補給を目的として利用される食品で、その栄養成分の機能を表示するものです。これらの食品は、消費者に販売される容器包装に入れられた一般用加工食品及び一般用生鮮食品であり、一日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が定められた上限・下限値の範囲内にある必要があります。

 「栄養機能食品」として販売するためには、栄養成分の機能だけでなく、注意喚起表示も行う必要があり、例えばビタミンCは皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素であるといった表示がされます。ただし、多量摂取により疾病が治癒したり、健康が増進するものではないという注意事項も表示する必要があります。
 「栄養機能食品」は個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度となっており、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。これは後に述べる「特定保健用食品」と異なる点です。

 特定保健用食品(トクホ)は、体の生理学的機能に影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により特定の保健の目的が期待できる食品です。これらの食品は、食品ごとに有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得る必要があります。従って申請から許可までに時間がかかり、数年の時間がかかることもあります。
 「特定保健用食品」として販売するには、消費者庁長官の許可を得ることにより、特定の保健の用途に適する旨を表示できるようになります。関与成分の有効性は、査読付きの研究雑誌に掲載されること(いわゆる論文に掲載されること)が条件となっており、定められた試験機関による含有量の分析試験も行われます。
 「特定保健用食品」は、例えば血糖・血圧・血中のコレステロールなどを正常に保つことを助ける、おなかの調子を整える、骨の健康に役立つなどの保健機能の表示が許可されています。ただし、医薬品ではなく食品であるため、疾病名の表示や病態の改善に関する表示はできませんが、関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合には、疾病リスク低減表示が認められることもあります。


 機能性表示食品は国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出ることで、特定の保健の目的が期待できると表示できる食品です。従って事業者自らの責任で科学的根拠に基づく適正な表示を行う必要があります。必ずしも最終製品のヒト試験ではなく「文献評価(システマティック・レビュー)を可能としたこと、生鮮食品でも表示を可能としたことなどで、多くの事業者が参入できるようになっています。
 国の審査は行われませんが、消費者庁により入念な届出資料確認が行われます。通常は申請から販売まで、「特定保健用食品」ほど時間はかかりませんが、少なくとも届出日から60日経過しないと機能性表示をして販売することができません。近年届出数が増加傾向であることもあり、書類不備などで申請が受理されず再提出となる場合も多く、120日以上経過しないと販売できないケースもありますので、販売計画は慎重に行う必要があります。

 消費者は消費者庁のウェブサイトで届出内容を確認でき、購入や使用の際に参考にすることができます。「特定保健用食品(トクホ)」と異なり、「機能性表示食品」は企業が自らの責任で科学的根拠に基づく表示を行いますので、消費者は公表されている届出内容を超えた広告に注意し、正しい理解を持つことが求められます。
 「機能性表示食品」にはさまざまなメリットがあり、体脂肪を減らす効果や食後の血糖値の上昇を抑える。悪玉コレステロールを抑えるなどの機能がありますが、未成年者や妊娠中の方などには推奨されていません。これらの食品は病気の治療や予防を目的としたものではなく、健康な成人を対象としています。

※詳細は消費者庁のホームページをご覧ください

 

 今回問題となっているのはこの「機能性表示食品」です。「機能性表示食品」は機能が認められた成分を含む素材を製造している企業があり、その素材を大企業や中小企業が自分たちの製品に合わせていろいろな食品にアレンジして、それぞれが消費者庁長官に届け出ることで様々な商品が作られます。国としても書類に問題がなければ届出を受理をいたします。

 問題になった素材を製造していた企業は、まだ原因は特定することができておりません。お客様からの申し出があった時点で危険性を公表すべきでしたが、これまで長く安全性が認められた製法で製造していた素材が、急に何らかの理由で関与成分以外の有害成分を含んでしまったため、その危険性の重大性になかなか気づくことができませんでした。ましてや高価な分析装置を持たない中小企業において、供給してもらっている素材やその企業を信じるしかなく、自分たちの製品がお客様にとって有害な物質を含んでいることに気づくことは、お客様からのご意見があっても難しかったと思います。

 今回の件で長く安全だと思われていた素材においてもリスクが潜んでいることが表面化しましたので、「機能性表示食品」そのものの制度が見直されたり、大企業はもちろん、これらのリスクを想定できない体力のない中小企業の参入は一層慎重になると思われます。せっかくの健康ブームの盛り上がりはあるところですが、ここで一旦立ち止まって、改めてお客様の安心・安全を考えた制度を作っていく必要があると思います。

 

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