突然蹂躙され

自分は娼婦となった事実

 

あまりの衝撃で眠れないまま
遅くまでボーっとしていたら


彼が部屋に入ってきた


 あ… あぁ…



泣きながら彼に駆け寄り抱きつく

「会いたかった…」

彼はいつものように
優しく私の頭を撫でる


「ゴメンね、遅くなって」

 

 

「私…
 あなた以外は嫌なんです…」


思わず本音を言ってしまった

「うん… 分かってるよ…」

そう言うと彼は
いつものように優しく
私を抱き寄せた

「安心して。
 俺は君のそばにいるから」

 

 

 

 

そして彼は

まるで初めて私としたときのように

優しく私を抱いた

 

 

 

 

彼の優しさに包まれながら

私は改めて幸せを感じていた


 あぁ… そう…

 なんて幸せ…

 やっぱり私は彼が…


彼はいっぱい時間をかけて
私を愛し続けた

 

 

 

終わってベッドで微睡んでいると
彼が優しく言った


「私ちゃんなら頑張れるよ。
 俺はいつでも
 こうして君のそばにいるからね」


頭を撫でられながら私は思った


 あ…

 

 ”ちゃん”付けで呼んでくれた…
 

 私のことを…

 

 

 そうだ…

 

 彼のために頑張ろう…

 せっかく彼が紹介してくれたんだ…

 

 

 彼がそばにいてくれるなら…


 彼が喜んでくれるなら…

 

 

 

 

 

それから
私はこの部屋で

指示されるがまま


色んな男に抱かれた


時には
無茶なことをする男もいて
ボロボロにされることもあった

でも彼は
そんな私を優しく癒して

慰めてくれる


だから私は
 

”彼が喜んでくれるなら”と頑張った

 

 

 

でも

1人になると考える


 やっぱりおかしいよね…


そう思える自分がいる

そんな状態でも
かろうじて”自我”は残っていた

 

 

だけどその度に


 彼を裏切っちゃいけない

 私は彼のために頑張るんだ


そう叫ぶ
もう1人の自分がいる


いつも頭の中に2人出てきて
最終的に声の大きい方が勝つ

そうやって私は
自分で自分を納得させていた

 

 

 

 

 

彼の”思惑”通りだなんて

考えてもいなかった

 

 

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