そして迎えた新売り場OPEN

私もこの日だけはフルタイム勤務
緊張と不安でいっぱいの私

「あんなに準備したんだから大丈夫!
 さぁ、一緒に頑張りましょう!」

あの人懐っこい笑顔で
副店長が私を励ましてくれる

「はい!頑張ります!」

私も引きつった笑顔で応えた

 

 

OPENしてみると
やっぱり大変だった

常連さんからの質問攻めや
他店で見たものが無いといったクレーム
初日サービス品でお客さん同士のトラブル…

などなど
想定外のトラブルが起きたり
かなりドタバタしたけど

何とか乗り切った

 

 

OPEN初日の閉店後

「お疲れさまでした~!」

副店長と2人で喜んだ

「私さんがいたから乗り切れました。
 本当にありがとうございます!」

一緒に困難を乗り越えたからだろうか
この言葉に私は涙した

「こちらこそ… ありがとうございました」

 

そんな私を副店長は
優しい目で見つめながら

「今日から始まりですね。
 改めてよろしくお願いします」

私は「はい。こちらこそ」と
笑顔で応えた

 


充実感でいっぱいの私

仕事でこんな感覚になったのは
初めてのことだった

 

 

 

 

この初めての感覚

それが私をおかしくしていった

 

 

 

 

新売り場OPENから1か月ほど

副店長や私がいなくても
新売り場は回るようになった

私も普段のシフト勤務に戻り
ようやく普通のパートさんに戻った

だけど
私はリーダーになっていたので
相変わらず副店長と
売り場について色々と一緒に動いていた

 

いつものミーティングが終わり
業務に戻ろうとしたら

「あ、私さん…
 ちょっと相談なんですけど…」

珍しく副店長が言いにくそうにしていた

 


何か困ってるのかな?

 

そう思った私は副店長の力になりたくて

「どうされたんですか?
 もし私にできることでしたら
 何でも言ってください」

 

 

「あ、そんな大袈裟な話じゃなくて…
 打ち上げ、というか慰労会しませんか?
 新売り場の立ち上げメンバーで」


「え? 慰労会、ですか…」


「はい。私さん含め
 皆さん頑張っていただきましたので…
 副店長が言うと
 業務命令っぽくなっちゃうので
 私さんにメンバーへの
 声掛けをお願いできないかと思いまして…」

 

 

どんな問題かと身構えてたので拍子抜け

でも
副店長が言いにくいのも分かる気がした


「分かりました!任せてください!」

 

また副店長のために頑張れる
お願いされたことで嬉しくなった私は
即答で引き受けた


副店長の思惑も知らずに…

 

 

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