④虫歯の主たる原因が、鉄.銅.マンガン.マグネシウムなどのミネラル不足から

起こることを以前に書きましたが、それらのミネラルを含んだ材料は

ベストセメントという名前です。


このベストセメントの開発のきっかけは、19世紀後半に起きた、ある出来事でした。
(19世紀ですよ!19世紀!)

 

フィラデルフィア.カレッジのドック,ホリディーという人が6才の女児が

う蝕により金歯をレッドカッパーセメント(銅の入った赤いセメント)で

装着され彼女が102才で亡くなるまでその金歯は損傷もなく、

また中の歯もずーっと健全であったことに着目しました。

 

当時の歯科治療では今日のように虫歯になった部分を完全に除去することは

ありませんでした。

これは即ち、このレッドカッパーセメント自体に何らかのからくりがあると思われました。
調べてみると、この抗菌作用は、中に含まれている銅に由来することがわかりました。


そこで、 もっと抗菌作用を強めようと銅の含有量を増やしたところ、

歯の神経を腐食してしまうことがわかり、カッパーセメント自体が信用をなくしてしまい、

使われなくなってしまったんです。


そして他のセメントの全盛時代に入り、レッドカッパーセメントは

忘れさられたようになっていました。


ところが 1990年 ドクター.フレサーは、一人の年老いた患者さんの歯から

赤いセメントを擦り取りました。
この患者さんの口の中は、歯を磨いていない様子で歯垢だらけでしたが、

この歯に関してはう蝕の兆候は皆無でした。


ドクター.フレサーはこのセメントを分析し、これが基本的には

銅セメントであることをつき止め、これが後にベストセメントになってゆくわけです。

「銅が抗菌作用を持っている。」

あー,なるほど、銅ですか。それでつながりました。


女性の方なら、知っている人が多いと思うのですけど、

台所の生ゴミの水切りに銅製のやつがあります。

この銅製の水切りはバイキンのヌルヌル、いわゆるバイオフィルムが出来ないそうです。

銅、それ自体がバイキンを繁殖させない力を持っているんです。

 

私達は銅の持つ抗菌作用を他のことを通じて、もうすでに知っていたんですね。
ん? 今、誰か、なんか言いましたか?

「10円玉を口にくわえていると虫歯にならないってことか?」

それはないと思います。

断言できないけど、たぶん。