奥多摩の山あいで性別不明の死体が見つかったらしい。これが熊の仕業なら東京都での熊被害は統計開始から六十年経過してはじめてだと言う。
怖さが忍びよってきた。
北アルプスへ通っていたころにも熊は見なかった。
きっと棲み分けが出来ているのだろう。
どこかの学者が話していたけど、境界線を壊しているのは人間だと。
そうかも知れない。いつだかの冬に冬季締めをしていた三俣山荘の扉をこじ開けて、侵入したあげく食糧を食い漁ったふとどきものがいた。
熊ではなくスキーヤー。
匂いにつられて熊が通うようになったらどうする?
想像力のない人間ほど馬鹿な生き物はいない。
相棒は夏に白馬に行くと話していた。
もしもが無いと願いホイッスルを渡すことにした。
モンベルらしい無骨さがいい。
