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第090話 田山の買取訪問
バタン！
佐藤の部屋を数人の証券会社の人間が出ていった。
この面談で、株式会社ＦＣアラカルトの上場の話は立ち消えた。
翌日には、どこで話を聞きつけたのか、社員数名が［退職願］を出してきた。
「あっけないものだったな…」
社長室のイスに腰掛け、天井を見上げる佐藤は呟いた。
トゥルルル、トゥルルル…そんな時、内線が鳴った。
「オレだ。ナンだ？」
「楽々ファイナンスの田山様がいらしています。」
田山は、相変わらずのニヤケ顔で入ってきた。
「聞きましたよ、佐藤社長。この度は本当に残念でしたね～。
実際、どのくらいなんですか？
ほらぁ、不採算店ですよ。
こういうのは赤字をタレ流す元凶ですからね、早めに切っておいた方が良いですよ！
そう、今なら買い取る側もたくさん抱えてますから、私の方で入札させますよ！
むしろ今が、チャンスですよ！社長！」
異例の出世で営業部長になった田山と会うのは半年ぶりだったが、相変わらずのねちっこい営業トークで佐藤を誘った。
笑顔はあるのだが、こちらも相変わらずで目は笑っていない。
むしろそのギャップが広がったように感じた。
佐藤は、その時の田山の表情をえらく不気味に感じた。
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