【これまでのあらすじ】
「見えない相手にサービスする方法」
という題名でケータイ販促を成功をする具体的手法を小説形式でお伝えしてまいりましたが、今回が小説の最終回となります。
もし宜しければ、コメントにてご感想をいただけましたら幸いです。
なお次回より物語についての解説が入りますのでお楽しみに!
【本編】
麻美「お店の成功って、『そのお店を利用してくれるお客様との関係が続くこと』だと思うんです。こんな時代だから嘘はいけないし、利害だけの関係も続きません。
それを超えた、お客様とのお付き合いの仕方を探していかなくてはいけないと、私は思います。その1つがケータイメールなんだと私は思います。」
シーン…と数秒、
沈黙した後に、「おぉ」声があがった。
鈴木が、パチパチパチ…と、大きな拍手をした。
それにつれみなが拍手をし、会場は大喝さいとなった。
鈴木のアゴにヒゲはない。
1店を売却して「残った4店をどうやって建て直すか?」という話になった時、麻美が手伝う話になった。
その際、
「手伝うけど、ヒゲを剃らなきゃイヤ」
という理由で鈴木にアゴヒゲを剃らせたのだ。
鈴木の店も、麻美が手伝いに行ったこともあり、徐々にではあるが業績を回復してきている。
「割引を乱発しなくして、店が荒れなくなった。良いお客さんも増えた。このままいけば大丈夫だと思う。」
鈴木も麻美のやり方を認め、何より感謝していた。
長く続いた拍手も終わりかけている。
私が席を戻ろうとしても、麻美はマイクを持ったまま動こうとしない。
うん?どうした?
拍手が止むと、麻美はおもむろに紙を広げだした。
…手紙??
そして、マイクのスイッチを再び入れて、それを読み始めた。
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パパへ
いつも、かなやママや、みんなのためにがんばってくれてありがとう。
かなも、おおきくなったら、あさみおねえちゃんみたいに、パパやママといっしょにはたらきたいです。
はやくおおきくなれるように、ごはんをいっぱいたべてすききらいもしません。
パパ ありがとう。
たかぎ かなこ より
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「!」
驚きからだろうか…
言葉が出ない。
胸に熱いものが込みあげ、喉がつかえた。
これまでの苦労は、このためだったのかもしれない。
袖からテケテケと出てきた佳奈子から目が離れない。
やっと足に飛び込んできたのを抱き上げ、
頬ずりするまで…
こぼれ落ちるほどの涙を流している自分に気づかなかった。
(完)
【→次回より、あとがき&解説です。】