定年まで、父はひたすら会社で働いた。趣味も持たず(持てず)土日もほとんどなし。朝早くから夜遅くまで、ただただ働いた。
典型的なニッポンの父であった。
娘はいやいやながらピアノのお稽古に励むふりをして、隙を見ては外へ遊びに行った。
ある時タクシーから下車する時、あわてて発車したため片足を引かれてしまった。夜中にERへ。かかとにヒビが入っている事がわかった。でも数日後の父親参観の時は包帯を外して、靴下をはいて靴を履き、小学校へ参観に来てくれた。痛かったろう、と思う。