杜の都の漢方薬局 運龍堂のブログ

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NHKで2018年9月24日(月)の午後7時30分から放送された「東洋医学 ホントのチカラ~科学で迫る 鍼灸・漢方薬・ヨガ~」で登場した漢方薬について解説します。

 

アルツハイマー型認知症の患者に人参養栄湯を12週間服用してもらったところ、食事量の増加と認知機能の向上が認められたという内容です。

 

認知機能改善のメカニズムとして、ミエリンの減少を抑えたり新たに作り出したりする作用が示唆されています。

 

ミエリンとは神経細胞が信号を伝えるための軸索と呼ばれる「道」に巻き付いている物質です。このミエリンがしっかりあることで電気信号を円滑に伝えることが可能であり、反対にミエリンの減少が認知機能の低下につながると考えられています。

 

神経細胞に対する効能だけでなく、食欲の低下に伴う筋肉量・活動量の低下が改善され、認知機能にも良い影響が出たのだと考えられます。

 

 

このNHKの放送の以前から人参養栄湯は認知症で陥りやすいフレイルを予防・改善し、認知機能はもとより身体機能全体の底上げ効果に期待がもたれてきた処方です。

 

フレイルとは加齢に伴う様々な機能低下や予備能低下によって健康障害に対する脆弱性が増加することいいます。

 

人参養栄湯が認知症で注目される理由としては、認知症を発症する方は身体的な機能低下が伴っていることが多く、優れた滋養強壮作用と認知機能に良い効果をもつ生薬が両方含まれているからです。

 

人参養栄湯は12種類の生薬(人参、当帰、芍薬、地黄、白朮、茯苓、桂皮、黄耆、陳皮、遠志、五味子、甘草)から構成される処方です。

 

人参は誰もが知る「朝鮮人参」のことで、それに対をなす黄耆(おうぎ)という生薬を合わせて漢方の世界では元気をつける生薬の双璧として重宝されています。

 

人参養栄湯はこの二つの生薬を含むため参耆剤(じんぎざい)と呼ばれています。

 

さらに古来より健忘などに有効とされる遠志(おんじ)という生薬を含んでいます。

 

近年では高齢社会での需要もあって遠志だけの漢方製剤も登場しているほどです。

 

認知症という病気を考えると「頭や脳」に焦点が行きがちですが、身体全体の機能がとても重要になります。

 

認知症の患者の行動と心理状態は大きく二つに分けられています。陽性症状(興奮しているような状態)として怒ったり攻撃的になったりすることもあり、勝手にどこかに行ってしまう徘徊などもこれにあたります。

陰性症状(静かな状態)としてうつ状態、無表情・無関心などがあります。
 
抑肝散(よくかんさん)という漢方薬はイライラを落ち着かせることで先ほど出てきた興奮した症状に用いられることで有名です。
 
今回、人参養栄湯がなぜ注目されているかというと、認知症の治療薬による機能低下に良い働きをするためです。
 
認知症のお薬を長い間用いると、体重減少などの体の機能が衰えてしまいます。体力の低下に伴って問題となっている認知機能もさらに低下してしまいます。
 
これを一度に解消できる可能性があるとして人参養栄湯が期待されているわけです。

 

認知症は長期的な治療になるため、滋養強壮作用、身体機能の改善をしながら認知機能の維持増進が可能となれば、ますます人参養栄湯の需要は高まると考えられます。

 

病院の薬とも問題なく併用できることも人参養栄湯の強みです。

(甘草が含まれていますので病院で他の漢方薬との併用は注意が必要です。)

 

超高齢社会の日本では平均寿命と健康寿命の差は大きく、男性で9年、女性で13年の差があると言われています。医療費の削減と健康寿命の延伸のため予防医学のための漢方の研究が盛んにおこなわれており、漢方薬の役目は今後も大きくなります。

 

先ほどから登場しているフレイルはその代表であり、骨格筋萎縮(サルコペニア)を基礎とした負のスパイラルをいかに防止するかがカギとなっています。

 

加齢に伴う食欲低下での慢性的な低栄養、活動量の低下や疾患による筋肉量の低下によって身体機能全体が低下してしまいます。

 

食欲不振をはじめとする体力低下、手足の冷え、貧血といった身体機能低下の改善を目的とした処方には六君子湯や補中益気湯、十全大補湯などの補剤がありますが、認知機能の改善という点も含めると人参養栄湯がおすすめです。

 

人参養栄湯の剤形は「湯」ということですので煎じて飲むのが一番効果的な飲み方です。杜の都の漢方薬局運龍堂では専用のハニル(煎じ器)を用いてしっかりと成分を抽出後、1回1包で手間なく飲めるようパック化してお渡しするスタイルをとっています。

 

これによって毎日煎じる手間と成分抽出ミスがなく漢方薬を服用できます。

 

生薬をお渡しして自宅で煎じてもらうと、煎じる方法に個人差が出てしまい、人によっては成分があまり出ない場合があるためです。

 

 

(「図:フレイルの概念」は厚労省 後期高齢者の健康 参照)