国民の一体感を損なうもの?

世界最古の歴史を持つ我が国日本は、開国以来、一君万民の国であった。職業は様々であっても、人としては天皇の下、同じように扱われるという伝統がある。その国民の一体感はこの国が危機に面した時、国民を結束させ事に当たるという我が国独特の在りようを生み出したのである。最近、この国民の一体感を損なうような気になることが起きているようだ。それはネットで上級国民という言葉が盛んに使われていることだ。気になるのでウイキペデイアを引いて見たが何故か削除されたようで載っていない。ニコニコ大百科で見ると次のように出ていた。

 

上級国民(じょうきゅうこくみん)とは、一般国民と対をなす、日本国民の身分を表す概念のひとつである。

上級国民という言葉は、一般国民に対してそれ以外の(特別な)民がいるかのような発言を受けて、それを皮るために生まれた単ネットスラング)である。東京オリンピックエンブレム騒動を発端とし、2ちゃんねる嫌儲板を中心として発祥した。

当初は(デザインに精通している)専門側の上から目線の言葉を皮るために用いられたが、その後は上級国民という言葉の連想から、政治家や役人、資産などを批判的な意味合いにてし示すようにも用いられるようになった。

 

インターネット上でこの言葉が盛んに使われるようになった経緯を振り返ると先日起きた池袋での自動車事故が発端のようである。2019年4月19日東京池袋で死者2名、負傷者8名の事故が起きた。ネット上で事故車を運転していた飯塚幸三氏を「上級国民」と呼んで怒りをぶつける風潮が収まらないようである。飯塚氏は旧通商産業省(現在の経済産業省)工業技術院院長で各種団体・企業の重役を歴任。事故後には負傷で入院し、警視庁は回復を待って自動運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で任意の事情聴取を行うことになったため、現行犯逮捕されなかった。報道では「容疑者」ではなく「さん」「元院長」などの呼称が使われた。こうした事実が疑問を招き、一般国民よりも優遇された「上級国民」なのではないか、との憶測が広まったのであろう。

 

4月21日には神戸で市営バスが暴走し、巻き込まれた20代の男女2人が死亡した。ともに歩行者が青信号の横断歩道で起きた事故だったが、池袋の男性は逮捕されず、発生当日の報道では「さん」という敬称や肩書付きで報じられた。一方、後者のバス運転手(64)は、自動車運転処罰法違反(過失致死)容疑で現行犯逮捕され、「容疑者」という呼称付きで報道された。ネット上では、この違いに批判が集まった。特に、前者の男性が元通産省官僚で元大手機械メーカーの副社長、さらには勲章を受けていることから、「『上級国民』だから逮捕されないのか」「さん付けなのか」「無罪なのか」などという指摘も上がった。

 

「上級国民」は、ネットスラングである。政治家や官僚、大企業の役員などある一定の社会的地位にいる人たちに対し、批判的な文脈で使われることが多いようだ。しかし日本は法治国家であり、経歴や職業で法の適用が変わることはない筈である。先に挙げた二つの事故の対応には何か根拠があると思うが、国民の間に無用な疑惑が生まれない様に、明確な説明が必要である。報道を見ただけでも、飯塚氏は高齢であり、さらに本人が負傷して治療の必要があったので、警察は逮捕を見送ったことは容易に推測できる。

「上級国民」などという国民を分断するような疑惑は出来るだけ早く払拭すべきである。マスコミやその背後に日本国民の一体感を破壊しようとする意図を有するものの存在があるのかもしれない。いずれにしても国民の一体感を損なうような企みには警戒が必要である。警察はこの二つの事故に対し法の適用が何故違ったのか、国民に分かるように説明すべきだと思うが如何であろうか。                  R1-6-26記