科学立国日本の将来に暗雲!

12月20日の新聞に日本学術会議が「国際リニアコライダー」を日本に誘致する構想について「誘致を支持するには至らない」という回答書を文科省に提出したという記事が小さく出ていた。これは科学立国日本の将来に大きな影響をもたらすものである。少し遅くなったがこの問題を論じて見たい。

 

国際リニアコライダー(ILC)とは

全長20キロのトンネル内で素粒子同士をほぼ光速で衝突させ、宇宙誕生直後の超高温状態を再現する実験施設、万物に質量を与えるヒッグス粒子を大量生産して性質を調べ、宇宙の成長過程を探る。現在の物理法則を超える新理論などノーベル賞級の成果が期待される。総建設費が約8千億円に上る巨大な実験施設。日本が費用の半分強、残りを米欧が分担し、岩手・宮城両県の北上山地に建設する構想。強固な地盤が必要でこれに適する場所は世界でもあまりなく、世界の多くの学者が北上山地を最適として推薦している。

 

建設費が巨大だというが10年にわたるプロジェクトで1年にすれば800億円、その半分を日本が負担すればよい。そして世界の最先端の学者・関係者が北上に集まるのである。その波及効果は想像を超える絶大なものである。

 

本来の使命を忘れた学術会議

学術会議は「科学者の意見などを政策に反映させることを目的とする」とその目的を明らかにしている。学術会議としてはこの構想が将来の日本にとってどれほど重要なのかを論ずべきで、真の科学者としての意見を具申しなければならない。費用対効果については政府に判断を任せればよいのである。学術会議が財務省の御用機関に成り下がっているように見える。緊縮財政を推進する財務省にとっては都合の良い答申である。それなりの圧力がかかっていたのだろうが情けない話である。科学者としての矜持はどこに行ったのかと問いたい。

 

ILCが日本にもたらす効果

科学者ではないので正確ではないが、北上にILCが実現すれば次のような効果が期待できる。

1 北上に世界の超一流の科学者が集まり、北上が最新物理学の中心地となる。

2 ILCの設計、建設、運用等幅広い分野の多くの企業・技術者、研究者さらに地域の人々が力を合わせて初めて成功するもので、和を尊ぶ日本に最適のプロジェクトである。

 

3プロジェクト推進に当たって、未知の技術が必要とされ、日本の技術者が中心となって開発が進められる。開発の途中で予想していなかった技術が生まれる可能性がある。

 

4 ILC建設による成果は、技術の産業普及、地質や環境などの調査、教育、医療、文化育成への利用など、多岐にわたって還元される。

 

5 本プロジェクトは分野の垣根を超えた一大プロジェクトで、日本という国が様々な観点で大きく変容する可能性を秘めている。

 

6 このプロジェクトを目の前に見ることが出来る日本の子供たちへの影響~子供たちの夢を育てる~は非常に大きいと思われる。

 

真の科学者達よ、今からでも遅くない。ILC実現に向けて勇気ある発言をしてほしいと切に思う次第