「テロス」
ということば![]()
「凄い高価で性能の良いフルートがあって、それを誰に渡せばいいか。」という問題・・・に対しては、
一番上手なフルート奏者にわたすのが、良い。![]()
それは差別にならない。正義にかなった分配なのだ
。
目的から逆算する道徳論である。
なぜか
それが素晴らしい演奏をのぞむフルートの存在の目的だからだ。それがテロスなのだ。目的。![]()
フルートはそれを達成できる人間を選ぶ。
したがって、他の根拠たとえば、くじだとか、貴族だとか、ハンサムだとか、ほかの理由でフルート奏者をえらんではいけない。みんながそのフルートで楽しむ、なんてのも功利主義であって意味がない。
★☆★この話を聴いて、私は思いました。英語でもいいますよね。
Why did you choose this instrument?
Me? No. This chose me.
そうだったんですね。
また、戦略とは、結果を逆算して原因を作りだす行為だ、と私がいつも思っていることもこれと同じ。結果は目的、それをもたらす原因がアクションであり、プランであり・・・・
アリストテレスによれば、何か他のものの手段であるような行為は、不完全なものであり、真の行為は、「それ自身のうちにその目的(テロス=終り)を含んでいる運動(=活動)」(『形而上学』1048b22)である。
例えば、ダイエットして痩せようとする行為は、痩せるという過程のうちにある限り、目的(=終り)をそれ自身のうちに含んでいない。だからそれは「運動(キネーシス)」に過ぎず、(完全な)「行為」ではない。
これに対して、「善く生きること」や「幸福に生きること」は、その過程が同時に目的であるような活動である。(或いは、「通学」は学校に行くための「運動」であるが、「旅行」は、それ自身が目的である活動である。)

