久しぶりに、英語のお話をしようと思います。
トヨタ車リコール事件は、現在進行形ですし売上も厳しいような感じです。
タイム誌2月22日号では、Toyota's Tangle という表紙タイトルで、トヨタ問題について特集していましたね。
その雑誌、最終頁には、Joel Stein氏のエッセイが掲載されています。いわく、原文のままのサブタイトル:
My Prius Problem. So what if my wife drives one? At least I won't have to hear why it makes her better than me
というものです。
このサブタイトルをみてもわかるとおり、どうも、ワケあり
という感じで、ストレートにプリウス批判の意思を表示していませんね。
どうも、アメリカ人はあれだけプリウスを叩いたのに、本音は、プリウス大好き
、という感じなんですよね。
Joel Stein氏のエッセイの最後に近いパラグラフにはこんな文章がでてきます。いわく、原文のまま
Nearly every time we drive Cassandra's melallic-green Prius, at some point we are either behind or in front of another metallic-green Prius. There are three Priuses on my tiny cul-de-sac. If this brake problem isn't repaired quickly, my neighbourhood is about to be jammed up by some ugly Prius-on-Prius violence.
Cassandraさんというのは、このJoel Stein氏の奥さまの名前です。
まず、皆さん、どう感じましたか
思わずニヤリ。ですよね。
もちろん、表面通り(字義通り)には受け取れない文章で、典型的なspite talkだと思います。皮肉、というか、ちょっとひねくれた表現。エッセイとして秀逸。スパイトトーク、といえば、この1ページ弱の文章全体の中にちりばめられた「仮定法過去」の表現がたくさんでてくることから、英文法の仮定法過去というのは実はこういうスパイトトークのためにある、といっても過言でないことがわかります。
実は、それだけ、プリウスはpopularであり、エコひいき、というか、ちょっと環境や知性や理性に深みのある(と思っている、あるいはそうだと思われたい)人にとっては、非常にひとつのアイコンになっている、という現実を見事に言い当てています。
しかし、これほど皮肉っぽい文章というのも珍しい。
それだけ、実は米国人はプリウスが大好きということでしょう。
それは、しかし、環境・知性・理性・先進性というイメージだけではないでしょう。
この背後には、Global vs Exotic という価値対立があるのでは?と思うのです。
そして、おそらくクルマという足、つまりグローバルな意味を持っているコトに、さらにテイストとして、エキゾチシズムが見えると、それの価値は倍加するのではないか、と思うんです![]()
一般に、マーケティング上からみても、基本はグローバル化、とくに現地での価値基準に合わせていくというのが基本です。売るためには、そうなんですね。その意味で、豊田社長の英語 は、批判的に見がちです。
しかし、むしろ、もしかしたら、豊田社長の英語のもつ価値 は、実は、この本来の英語ではない、ブロークンだという意味において、まさにエキゾティックなテイストになっているのでは、と思うようになりました。
考えても見てください。トヨタは、あれだけ巨大グローバル企業なのに、社外取締役は1人もいません。ビックリですよね。米国流のガバナンスなんで、まるで意識していないかのようです。外国人の役員もいません。今後の改善策として、Chief quality officerをそれぞれの地域に置くという一方で、リコール判断は日本で(本社で)行う、といっています(それでは、分権して現地で速断させる意味はなくなってしまうのに。) ソニーとは正反対の会社、つまり、トヨタは、非常にexoticな会社なんですね。「それで、なにか?」ということです。
そういう意味で、つまり自社のエキゾティックなものを前面に出した 、という意味で、今回の豊田社長の英語 も、深いマーケティング上の意味を持っている、と思います。(これは、スパイトトークではありません。)
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
個人向けセミナーというかワークショップをやってます。
異文化コミュニケーションセミナーはコチラ☆
