それで、出版業界一般について、私が感じたことを書きます


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今まで4社ばかり出版社めぐりをしてきて、気がついたことがあります。それは果たして出版事業というものの事業性はどこにあるのか、という問題です。爆弾


著者からの売り込みに対しては、出版社は警戒します。信用がある人かどうかが心配だというだけではありません。出版社側の経営としては、自分のリスクでは今出版はおいそれとはできないくらいの出版不況だからです。で、リスクは全くとりたくないので、自費出版花盛りということになります。それで、「新風舎」事件 がおきたんですね。最初に出版のカネをとっておいて倒産。非常に出版事業に対してのイメージは悪くなっています。

雨

出版社側からの売り込みの場合は、もっぱら著者に面白みがある場合とか有名の場合ですね。企画はその後です。マーケ重視です。中身が大切、とよく言いますが、中身だけで勝負はできません。結局売れてナンボですので。


出版社はリスクを負いたくなくて人件費コストも入れて全部著者に負担してほしい、という趣旨の値段を最初提示してくる。売れなかったときのリスクは全部著者にあります。場合によっては費用も最初に払うようです。


一方出版社側は、リスクなしで、売れだしたら、初めてコストは全部出版社がもつけど、それまでは一切リスクは負わない、というビジネスモデルです。出版社としては、ひとりリスクを負う酔狂な著者を待ち続けて、それでもし売れたら著者には最大でも10%しか渡さないという商売ロジックなんですね。


これはかなり変則的な商売ロジックです。著者はできあがるまでに多大の時間と労力をかけて制作するわけですから、実は単価でみると時給10円ぐらいになっているんじゃないかと思います。セミナーと同じですね。それでも真剣勝負できる場を求めているので、著者としては見合っているともいえますが。その代り、ベストセラーになったら巨額の印税になるということはなぜかというと、10%が売れた金額に対して一律だからです。


たくさん売れたら%を下げて、コストも安く提供するのが普通の商売。それなら、沢山売れたら売価も下げて、印税も%をスライドダウンさせてもいいんじゃないか、と思います。そして最初のリスク(売れるかどうかわからないのは、どの商売でも同じです。出版だけがリスクがあるような言い方は正しくはない。)の危険負担は割合でわけるほうがお互いにハードルを低くできます。たとえば、最初にかかる実費コストは著者側と出版社側で折半する、そして売れても売れなくてもサープラスつまり剰余が出たら、プロフィット折半する、という方式が、普通は一番わかりやすいし、フェアだし、説明可能だ、と思うんですが。どこか、こういう普通のビジネスモデルを採用する出版社がでてこないかなあ。


でも定価販売は続けるし印税%もさげないし。


一方でリスクを全く負いたくない気持ちが出るので、最初のハードルが異常に高くなる。それがマーケティングができない理由になる(待っているだけ)。


なにかおかしい。出版社は、そもそも著者に対しては

どんなサービスに対して対価をとっているんでしょうか


① 編集作業が独自サービスだというのなら、編集サービスフィーをとればいい。
② 取次店や本屋さんへのマーケティング・デリバリーサービスだというのなら、そのサービスフィーをとればいい。
③ 印刷は外注でしょうから、原価ということになり、少し原価に上乗せすればいい。


出版社には機能的には編集と販売の二つのサービス事業部門があるように見受けられるので、それぞれコスト分析と利益水準を出して、モジュール化すれば、妥当でコントロールできる値段設定ができるのではないかと思いました。


それにしても、印刷会社系の出版社は、マツモトのように オンデマンドで編集作業はカットして、印刷という製造部門だけの経費だけで経営しようとします。


本来の編集主導の出版社では、逆に編集サービスフィーという(人件費以外原価のわからない)ものを売価にしたてて経営をなりたたせようとしています。


その出版社が印刷系なのか編集系なのかによって、著者へのアプローチが変わっているようです。