ガンプラ、超リアル塗装考(4)
前回記事の訂正というか、補充事項からまずはお話しします。
耐熱素材に関して、酸化チタン塗料というところで可能性を考えたのですが、現状の素材ではもっと高温に耐えられるモノがあるんですよね。
①炭素繊維強化/炭素複合材(C/C 複合材)・・・・炭素繊維と炭素マトリックスからなる複合材料。
H-ⅡAロケットの噴射ノズル内側に使われています。約3000℃に耐えられるとのこと。ただし炭素繊維なんで色は黒(つや消し)ですね。
②シリグラス・・・H-IIAの固体ロケットブースターのノズル及び周辺部に使われている二酸化ケイ素を96%含む素材。耐熱性・断熱性に優れる。
布状のシリグラスの開発により、従来の防火シャッターに比べはるかに軽量な耐火スクリーンの実現や、家庭における天ぷら油などの発火時の消火に役立つ消火布などの開発に成功している。
ここで、シリグラスを装甲材コーティングに使うという方法・・アリですね。
(4)バーニア・スラスター部の塗装色考察
ⅰ.推進剤として不適切なものはなにか?
プラ仲間のダッチ氏とイロイロと議論したなかで、ありえないものを消していくという方法で考えました。
・ジェット燃料・・・市販されている灯油やガソリンに近い成分である。有機物なので燃焼時には水、二酸化炭素を生成。その他、硫化物や窒化物も排気。不完全燃焼で炭素(ようするにスス)も発生。
さて、これは何かっていうとジェット戦闘機のエンジンノズルの写真です。
推進剤がジェット燃料であるなら、バーニアノズルの材質はチタンで、使い込むとこのように熱で色が黄色味を帯びたり、内部にはスス汚れがつくような感じですね。
さて、MSの推進剤としてジェット燃料の可能性はまずないですね。
重量超過になるような燃料をMSが積むことはまずありえなし、宇宙世紀の年代まで石油という化石燃料が残っていると思いますか?
仮に、わずかにあったとしても埋蔵量限界が迫っているものは使わずに次世代の推進剤開発してるはずです。
つまり、これに準じたバーニア塗装は大きな間違いなんです。
・ロケット燃料・・・使われているのは液体水素ですね。水素の燃焼時のエネルギーはジェット燃料のそれよりも大きく、資源的にも水から作れるからほぼ無限でしょう。
さて、写真はスペースシャトルオービターのバーニアスラスター部ですね。
基本的に、骨格はチタンのようですけど内側には前述の炭素繊維強化/炭素複合材が使われているようです。
なので、内部の色はつや消しの黒となります。
水素が燃焼した後は、水しかできません。つまり、スス汚れはつかないんで、そういう表現はオカシイってことっすね。
表面が白っぽく見えるのは、熱でチタンが酸化チタンに代わった関係のようです。
まあ、ロケットぽくつくるならこういう感じの塗装なんでしょうね。
って、偉そうに書いてますが、実は僕自身のキットは、スラスター部をほぼこれに準じた塗装をしてきました。
まあ、内側の炭素繊維強化/炭素複合材はハズレではないのですが、そもそも水素でMSが推進することもありえないです。
その理由は、宇宙空間での燃焼のために酸化剤を積む必要があるから。明らかにこれもオーバーウエイト。
しかも、本体動力とは一切関係ない燃料だから無駄が多い。よって、水素推進剤説も没。
ⅱ宇宙世紀的.MSの世界観にマッチした推進剤と動力とは?
そもそも、ガンダム世界におけるMSの動力はなんだったか皆さん覚えてます?
そう、核融合炉です!
燃料は、シャリア・ブルやパプテマス・シロッコが木星船団を率いていたことがヒント。そうですね、ヘリウム3でございます。
※核融合・・・2つ以上の原子を融合させること。その際、大きなエネルギーが放出。ちなみに、原子力発電所で利用されているのは核分裂で、1つの原子が分解するときのエネルギーを利用している。
※ヘリウム・・・原子番号2の元素。存在率が高いのはヘリウム4(陽子2,中性子2で原子核が構成されている)で、その同位体のヘリウム3は陽子2,中性子1。
核融合にはいろいろな方式があるのですが、ヘリウム3を使うのはこういうケースです。
2原子のヘリウム3を核融合させて、ヘリウム4と2個の陽子に変換してエネルギーを取り出す。
この時に発生するエネルギーは熱換算すると数千万℃以上ということです。こうなると、並の素材では耐えられません。なので、磁場を利用して封ずるそうです。
まあ、ガンダム世界では、そこにミノフスキー物理学がかかわるってことですね。
そこで、生成されるヘリウム4なんですけど使い道・・・、ないですよね?廃棄物・・・・・?
なんてね、実は僕の考察はこのヘリウム4が推進剤であることなんです。
まあ、ちょっとでも化学かじった人なら、ヘリウムは希ガス(不活性気体)に属するから、化学的に安定して反応しないからこの推論はおかしいって反論するでしょう。
そ・こ・で・・・・、最近の新技術のおはなし。
VASIMR“可変特殊インパルス電磁プラズマロケット”
超電導磁石による強力な磁界の中に加熱したプラズマを閉じ込め、そのエネルギーを後段の超電導磁石の後ろに設けた磁気ノズルからいっきに解放し、高速のプラズマ流として噴出するというのがその基本的な仕組み。
右図のようなドーナツ状の3つの超電導磁石を貫通するパイプの中に、水素またはヘリウムのガスが送られる構造となっています。
VASIMRは核融合反応を実現するためのアプローチの1つである“磁場閉じ込め”の技術から生まれたものです。
化学ロケットにおける推進剤の燃焼温度は数1000℃ですが、核融合の実験装置のプラズマ温度は数100万から1000万Kにも及びます。
このような高温に耐える材料はないため、磁界によって高温プラズマを宙に浮かすのが“磁場閉じ込め”方式です。
とまあ、wikiから拾ってきましたけど、こういうロケットが研究されているんですね。しかも推進剤にはヘリウムを使うって考えると帳尻あいます。
どうです?これならMSの推進装置として納得できません?
まあ、塗装にはまるで関係ないけど、Hi-νガンダムのプロペラントタンクの中身は、液化ヘリウム3だって考えたら理屈があいますよね?
ただし、この半端じゃない高温が問題です。ノズル・・・溶けちゃいますよね?
ここで考えたのは、MS、の場合はロケットほどの高速移動は必要はないので、噴射するプラズマの濃度を下げているんじゃないかってことです。
そして、ロケット燃料程度の数千℃まで下げれば、現在実用化されているロケットのノズルと同じ構造素材のバーニアでもOKってことですね。
なんで、僕的結論!
MSのスラスター(バーニア)の塗装は、スペースシャトルなどとほぼ同じでよい!
ようするに内側は炭素繊維強化/炭素複合材の色で塗って、外部を経年劣化的に表現するって感じでしょう。
また、ロールアウト後っていう設定なら、中は黒、外はクロムシルバーっぽい色っていう感じですかね?
さてさて、そうするとですね、もう一つ問題が・・・。
こういったメタルパーツでバーニアを表現するのはどうかっていう問題が生じます。
左側のようなカラフルなものは明らかに没。これに類するメタルパーツを使ったら、リアル路線からは逸脱ですね。だいたい、高熱できれいな色なんか焼けてぶっ飛ぶでしょうから。
まあ、これを使ったら玩具っていうか装飾品になるでしょうね。
右のような、焼入れタイプなら、炭素繊維強化/炭素複合材的な雰囲気があるんで許せるってとこですかね。ただ、そのまま使わないでメタルプライマーかけてちょっとは塗装するほうがいいかも・・・。
(つづく)



