あらしのよるに


ごうごうと叩きつけてきた。

それは雨というより襲いかかる水のちぶたちだ。

荒れ狂った夜の嵐は,そのつぶたちをちっぽけなヤギの体に右から左から力任せにぶつけてくる。

白いヤギはやっとの思いでおかを滑りおり壊れかけた小さな小屋に潜り込んだ。


暗闇の中で,ヤギは体を休め,じっと嵐が止むのを待つ。

ガタン

誰かが小屋の中に入ってくる。


ハァハァという,息づかい。

何者だろう?

ヤギはひっと身を潜め耳をそばだてた。


コツン ズズ,コツン ズズー。


一歩一歩,固いものが床を叩いてやってくる。

蹄の音だ

なぁんだ,それなら,ヤギに違いない。

ヤギはほっとして,そいつに声かけた。

「すごい嵐ですね」

「え?おやこいつは失礼しやした。真っ暗でちっとも


気がつきませんで」


相手はちょっと驚いて,荒い息で答える。

「私も,今飛び込んできたところですよ。しかしこんなにひどくなるとはね」

「全く,おかげで足はぐじくし,おいらはもう散々ですよ」

相手はやっと大きくため息をつき,つえにしていた棒切れを床に置く。

ということは

そう,その杖をついてやってきた黒い影は山羊ではなく狼だったのだ。


特に,この狼,鋭い牙を持ちヤギの肉が大好物と来ている。

「あなたが来てくれてホッとしましたよ」

ヤギの方は相手が狼だとはまだ気がつかない

「それはオイラだって,嵐の夜にこんな小屋にひとりぼっちじゃ,心細くなっちゃいますよ」

どうやら狼の方も相手が闇だとは気付いていない。


「よっこらしょ,いてて」

「どうしました」

「いやここに来る時にちょっと足をね」


「それは大変。ほらこっちに足を伸ばしてくださいよ。」

「お,それじゃあちょっくらしつれいして,よいしょっと」

狼が伸ばした足がチョンとヤギの腰あたる。

ヤギは

「あら,ひづめにしては随分柔らかいな」と思ったがきっと今当たったのは,ひざなんだと思い込む


おしまい


今日は,「嵐の夜に」

木村祐一さんの絵本読んでいましたどうだったでしょうか