スカパーで録画鑑賞。
TVドラマ『冬構え』
1985年NHK制作。山田太一脚本。
笠智衆主演、岸本加世子、金田賢一、沢村貞子出演。
東北の温泉旅館に一人の老人(笠)が泊まりにやってくる。
担当の女中の麻美(岸本)に場違いなほどのチップを渡す。
最初は戸惑う麻美だったが、
恋人の板前の昭二(金田)と一緒になって店を持つ夢があり、
老人から資金援助してもらおうと、
その行先を追うのだが…
長きにわたって老人役をこなしてきた笠智衆の晩年期における、
諦念の老境を描いた名作ドラマ。
老人は、東北の温泉地を次々と訪れ、
ロードムービーの要素もある作品である。
はたしてその老人の真意は?
若い麻美と昭二が思ったような、
裕福な老人ではない。
それは、妻に真先立たれた孤独な老人が全財産を携えた、最期の旅だったのである。
老人が最後の旅で触れ合うのは、
そんな若いカップルだけではない。
同じく老境に至った老人たち(小沢栄太郎、藤原鎌足)らとの、
生死に関する語らいは実に深い。
また、同じく一人旅をする高齢の女性(沢村貞子)と出会うエピソードも、
ちょっとした花を添える。
かなり古い作品というイメージで鑑賞したのだが、
考えたら時代はバブル期直前の浮かれまくっていた1980年代。
岸本加世子のビジュアルと芝居にその時代を感じてしまうが、
それはそれで枯淡の境地を感じさせる笠智衆の存在と、
鮮やかな対比を感じた。