サツゲキにて鑑賞。
映画『このろくでもない世界で』
キム・チャンフン監督作品。ホン・サビン主演、ソン・ジュンギ、キム・ヒョンソ出演。
韓国社会の底辺で生きる少年の生き様を描いたクライム作品。
母親と、その再婚相手の酒癖の悪い男と、その血の繋がっていない娘ハヤン(キム)と、
3人で貧しく狭い家で暮らすソンギュ(ホン)。
ある日ソンギュはハヤンを守るために事件を起こしてしまい、
示談金を請求されてしまう。
そのために闇金を経営するチゴン(ソン)の組織の厄介になるのだが…
少し昔の日本の不良少年ものを思わせる展開の作品である。
しかしそこは韓国映画。
容赦ない、壮絶で暴力的な世界が繰り広げられる。
日本とはレベルが違うのである。
しかし、それだけだ。
うーん…韓国人の考えることは理解できない。
と言うか、この映画を理解する能力が自分にないだけかも知れないが。
300万ウォンの示談金を支払えずにのたうちまわるように生きるソンギュ。
しかし、その示談金をチゴンが手を差し伸べる。
チゴンは、この荒れた街を仕切る若きリーダーだ。
半グレ連中をまとめて、
バイクの窃盗などの犯罪を手に染めている。
そんなチゴン、なぜソンギュを助けるのか?
組織内でも鈍臭いソンギュは足手まといな存在である。
仕掛けられた罠もあったのだが、
ソンギュは大きなミスをおかす。
そう言う時にケジメをつける場合、
日本のヤクザなら指を詰めるのだが、
韓国では爪を剥ぐのですね。
痛そうだけど、指を詰める日本の方がエグいな。
さらにもっと大きなミスを、ソンギュは犯してしまう。
今度は爪くらいじゃあ済まない。
上からは「手首を切ってしまえ」と指令が出る。
ここからは、本当に理解できない展開に。
ソンギュは情けないことに、
母親や義理の妹のハヤンに助けを求める。
ケジメをつけに、ようやくやってきたソンギュ。
しかし、一人じゃない。
ハヤンと一緒だ。
そして、事もあろうにハヤンを人質として事務所に置いていく。
おいおい。
その間にソンギュは失敗した穴を埋める金策をしようとするのだが、
うまく行かずに早々とチゴンの元に戻ってくる。
そこで、手首を切ろうとするソンギュ。
まあ仕方ないだろう。
しかし、ここでもまたチゴンの温情で、
手首切断は阻止される。
暴力組織のリーダーの割には、
チゴンは良い兄貴じゃないですか。
ああそれなのに、ソンギュのとった行動は…
え?嘘でしょ?
しかも、チゴンまであんなことに??
いやあ、分からん。
それらの行動原理がメチャクチャ。
恩を仇で返す?
韓国人って、ああなのだろうか?
いやいや、一般化してはいけないな。
ぶっちゃけて言うと、
止むを得ず犯罪に手を染めらざるを得なかった貧しい小心者のソンギュは、
結局は殺人犯になってしまうのだった。
しかも、家に帰ると母親も殺されて…
いくら容赦ない展開たって、
まさにメチャクチャ。
で最後は、
ソンギュとハヤンは、
バイク2人乗りで明日に向かってGO!?
ソンギュとハヤンは血の繋がっていない兄妹である。
随所に危うい関係に発展しそうなフラグを立てながらも、
安易にそういった展開にしなかったのは評価できるが、
こんなメチャクチャな展開だったら、
いっそのこと危うい関係にしちゃった方がスッキリしたのでは?
まあ、温情派の兄貴チゴンを演じたソン・ジュンギは、
侠気があってカッコよかったですが。
韓国映画ならではの壮絶さだけは評価の5点。