スカパーで録画鑑賞。
ビデオ『カテキョのセンセ。』
2017年能登秀美監督作品。きみと歩実主演。
車椅子生活を余儀なくされて引きこもりになっている青年。
唯一の趣味が、自室のベランダからクラシックカメラで外の景色を撮る事。
ある日、無様に転んだ若い女性(きみと)の姿を撮影してしまう。
その後、青年の父親が「英語の家庭教師」として見つけてきた女性が、
まさにその転んだ女性だった。
内気で話もできない青年だったが、
いつしか彼女に恋心を抱き…
軽薄なタイトルのピンク映画だが、
なかなか深い内容の作品だった。
青年は下半身不随で性的にも不能。
父親は心配をかけてくれるものの、
不倫の上離婚して、名目は家政婦の愛人が家に出入りしている。
家庭環境にも抑圧された生活をしている。
父親がなかなかの俗物で、
英語の家庭教師の生徒を探している彼女の色気目当てで、
息子のためとして家庭教師として雇う。
月謝はなんと、週2回で月10万!
父親は「デリヘルだと思えば良いか」…
おいおい(笑)
そんな彼女が、
家庭教師を通じて引きこもりの青年を外に連れ出すまでに成功して、
さらには肉体関係を結び、
性的能力を回復させる。
まあ、エロ映画としてはお約束の展開であるが、
その過程はなかなか丁寧である。
英語のレッスンという事で、
随所に英語の問題文が映し出される。
言葉を発しない青年は、
英訳や和訳の文章のやり取りを通じて自分の気持ちを彼女に伝える。
また、何度か英文のテロップとヒアリングのナレーションが出てくる演出もユニーク。
また彼女が、序盤から何度も転ぶシーンを繰り返す。
最初はコミカルのシーンだと見せかけて、
実は彼女が難病(おそらくALS?)に侵されていることを示唆するシーンだったのである。
「月謝10万」と吹っかけたのも、
働けるのが今のうちだという判断の元の苦渋の選択だったのである。
そのようなやりとりの末、
父と息子、愛人、家庭教師の4人は家族のように暮らしていくようになる。
車椅子の息子は徐々に身体も回復して、
ラストシーンでは松葉杖をついて歩くまでになる。
一方で家庭教師の女性は、
車椅子の生活になっている。
残酷だが見事な対比。
ピンク映画だけにエロいシーンも多いのだが、
身障者と難病患者との触れ合いを描いた、
実に切ない作品だった。
主演のきみと歩実はやはりAVは主戦場の女優。
まだ若いのだが、この作品や『演歌の女 乱れ慕情 艶景色』(2016)の頃が良かったような気がする。
そんなきみと歩実の魅力も堪能できる作品であった。