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2)『障害者白書』(内閣府2011)では「障害当事者」は「障害のある人本人及びその家族」とされている(2p).しかし「障害の問題」を考えたときに,本人の経験とその「家族」の経験とは異なるのであり,その差異を消去してしまってよいのだろうか.本人とその「家族」とではその当事者性は異なるものなのではないだろうか.「家族」について岡原(1995a)など.負担をする人,介助をする人を「家族」に限るのは合理的ではないことについて立岩(1995). 

  「家族」もまた,「被抑圧者」でありながら「抑圧者」にされうる.北村健太郎によれば,「親の論理」と「本人の論理」の異なりによる分岐,親による活動の重要性を認めながらも,その限界から「本人」による活動が形成されていったのは1970年代の血友病者による活動にもみられ,それは障害当事者による運動と通底している(北村:2012).

  本論では「家族」について議論できないが,「家族」を「抑圧者」として立ち現れさせる要因として,「家族」を抑圧しているもの,またそれに加え,「本人」を「家族」に隷属するものとして捉えようとする認識とそれに基づく「問題解決」の実践があるのではないか.例えば,本人が生活することができる場が「家庭」か「施設」かにしか無くされている場合,「家庭」に閉じられること,閉じられた関係の中におかれることは「家族」を抑圧しもするし,「家庭」で限界がきたら「施設」へ,「閉じ込められる」のは「本人」であるが,そこに「閉じ込める(ことをさせられる)」役割を「家族」はあてがわれ,その役割に従事すること,またその役割に従事していることが責められることも,あるいは「なぜ『子どものために』(『望ましい』とされる)それをしないのか」と迫られることも,「家族」を抑圧するだろう.

1)本人を「家族」に隷属させるような位置付け,本人を主体とするのではなく「家族」を主体として位置付ける問題(あるいは「ニーズ」の)把握/認識しか行われないことがある.本章,第2章でこれは合理的でなく,認められないこと,これに対する問題提起を確認する.

2)家族にかかる過重な負担は家族に,その負担の分,発言力(発言の有効性や要求することの妥当性)を与えもする.要求を受ける側は負担している人間の要求をきこうとするだろう.本来「社会」が負担すべきところ,負うべき義務を代わりに引き受けてくれている,あるいは「『本人』への対応」に困る「社会」の代わりに対応をしてくれているその「家族」にその「借り」の分,要求をすることが,それは団体となったり,団体と結び付いたりしなければ効力を発揮しないかもしれないが,また要求が認められ実現するかは別として,すること自体は認められるということだ.(2)は(1)を導出しうる.また「家族の負担」が当然のこととされ,そのうえで「家族」に対する「慈善」,「救済」がなされる社会なら,それでも(1)が導出されるだろう.

 (3)「必要」を要求するときなど,本人とともに,本人に関わることをいわなくてはならないとき,閉じられた関係の中にあって,本人と関わる人が限られている場合,その限られた人の発言力が増す,というよりはその人(のいうこと)が中心となって/されてしまうことがあり,本人と一緒に「必要」を要求していくのだとしても,その「限られた人」が「家族」ならそれは(1)や(2)なども相まって,本人が差し置かれてしまうこともあるだろう.「家族」がその社会において家族であること以上の役割をあてがわれる.

北村健太郎,2012,「血友病者本人による社会と結びつく活動の生成――Young Hemophiliac Club結成を中心に」天田城介・村上潔・山本崇記編『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』ハーベスト社,62-84

内閣府,2011,『障害者白書』.

岡原正幸,1995a,「制度としての愛情――脱家族とは」安積純子・岡原正幸・尾中文哉・立岩真也『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学』藤原書店,76-100

立岩真也,1995,「私が決め,社会が支える,のを当事者が支える――介助システム論」安積純子・岡原正幸・尾中文哉・立岩真也『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学』藤原書店,228-265

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