出会い系サイトを使っての囮捜査。
一条圭一郎は興味を持った。
半ば公認で浮気心を満足させることができる。
「段取りは藤原さんがつけてくれるんでしょ?」
「ええ、会う約束までは何とかこぎ着けますから、その後のことはお好きなように」
「で、どんな情報を仕入れればいいんですか?」
「この孝枝って女が何を狙って、どんなことをしているのか、それを調べたいんです」
「ううん、結構難しいんじゃないですか?こっちは捜査なんて素人なんだし」
「何とかなりますって、プレイボーイぶりを充分に発揮してくださいよ」
「またまた、そんなコト言う。勘弁してくださいよ。それ程浮名を流してるわけじゃないですよ」
「まあまあ、いいから。薫さんにはヒミツ、ヒミツ」
最後の一言がダメ押しになり、圭一郎は囮役を引き受けた。
あとは約束までメール攻勢だ。
経験豊富な(?)丈二をもってしても、孝枝はなかなかの難物だった。
毎日のようにメールしても、会う話にはなかなかならない。
このサイトにつぎ込んだ金額が5万円を越えたところで、ようやく会うことになった。
「5万のうちいくらが孝枝の懐に入るんだろう」そんなことを考えた。
ただ、実際のところ、半分も女に払っていたのでは、サイトの運営が不可能なのもわかっていた。
「この孝枝って女が、サイトから貰える小遣い程度の金で満足しているとは思えない」
藤堂も丈二もそう考えていた。
会う約束をしたことを、圭一郎より先に藤堂に連絡した。
藤堂は喜んでいるのか、いないのか、よくわからない反応だった。
それよりも、囮役に圭一郎を起用したことに反応した。
「よく納得させたね。どんな男なのか、一度会わせてくれないか」
妻の不倫相手と会う気らしい。
「会うんですか?向こうには藤堂さんが葉子さんのご主人だって話してないんですよ」
「いいじゃないか。知らないフリしとけばいいんだろ」
丈二には藤堂の考えというか、気持ちがわからなかった。
「奥さんの不倫が気にならないんですか?」
「うん、まぁね。それ程執着もないし…」
「まぁいいです。じゃあ一条さんに話してみますよ」
「いや、いきなり会った方が面白いから、次に君が会う時に連れてってくれ」
「わかりました。では明日の午後でどうです?」
「了解。俺はどうせ窓際刑事だから、時間なんていくらでもある」
乗りかかった船だと思って協力してきたが、すでに自分の手に負えない段階になってきた。
そんな思いが頭の中をぐるぐる回る。
このもやもやした気分を紛らせる方法は1つ。
丈二は薫にメールし、いつものホテルで待った。
「ほんとにややこしいことになったのね」
丈二のモノに舌を這わせながら、薫は人事のように言った。
「あなたの婚約者の話なんだけどなぁ」
丈二の方が気を遣う。
「だから、私、圭一郎が何しようと気にしないって言ってるでしょう」
「そうだね、婚約者がいながら、こんなことしてんだから」
勝手知った薫の身体を貪るように撫でまわし、舌で奉仕する。
薫も意識の中から他のことを締め出し、丈二との行為に没頭していった。
ベッドの中、バスルーム、ベランダと場所を変えながら、新しいツボを探し合うようにお互いの身体を貪る。
身体全体に舌を這わせ、指で刺激し、最後はお互いの一番敏感な部分に顔を埋める。
狂おしく感覚の濁流に身を任せ、奔放かつ開け広げの狂宴が続いた。