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小学生では恐竜博士と呼ばれてた。




図工の教室には参考図書があり、そこにあった学研の「大むかしの動物」と言う図鑑が大好きだった。




とにかくボロボロで背表紙はガムテープで補強していたが、それがまたいい感じだった。




当時の図鑑の恐竜は今とは違い、尻尾を引きずったゴジラみたいな恐竜だが、太古の背景と共に描かれていて、とても不思議な世界観だった。





他の恐竜図鑑は恐竜がまとめて描かれていたが、大むかしの動物は1ページ1ページ背景に恐竜の生活が描かれていた。





その世界はなんとも不気味であったが、太古のまだ人間の居ない世界にとてつもないロマンを感じてた。






ある日、父に頼んで「大むかしの動物」を買ってもたった。それまでどんな恐竜図鑑を買って貰ってもこれに勝るものは無かった。とても嬉しかった!






その日以来私の宝物になった。







ある日、クラスで一番成績の良い出木杉くんみたいな友達に貸してあげた。






出木杉くんから返してもたった時に、何か違和感を感じた。






出木杉くんが笑いを堪えている。






何かおかしい。







ページをめくっていくと、私の一番お気に入りのティラノサウルス(チラノザウルスとなっていたが)のページの背景にある山から下手くそな火山が描かれている。しかも、消しゴムで消しても筆圧が強くて紙に彫られている。




笑えない。






出木杉くんはドラえもんに出てくる出木杉くんとは違い、出来過ぎるのは勉強だけのとんでもない馬鹿野郎だった。





勉強できても、人の気持ちもわからない奴は軽蔑する。







その時の「大むかしの動物」はまだ本棚にとってある。あの馬鹿野郎の描いた下手くそな火山もね。