伝説の授業。 | un:cの底んトコロ。

伝説の授業。

ニコニコとは関係のない、un:cの高校時代のおはなし。





僕は高校生の頃、あまり真面目な生徒ではありませんでした。大体居眠りしてて、ぼーっと妄想ばかりで(笑)ノートもそんなに取ることはありませんでした。



はっきり言って授業というものに全然興味がなかったわけです。成績はもちろん下の下の下。



そんなある日、歴史の授業中に、いつものように居眠りしてたらなんだか教室中の空気が急に張り詰めたような、凜とした温度になった気がして、つい目を覚ましたんです。




すると沢井(仮名)先生が語気を荒げながら、怒りあわらに授業をしていたんです。
沢井先生は熱血というよりは、どちらかと言うとひょうきんなタイプの歴史担当の男性教諭。怒ることなんて滅多にありません。

その日は確か、第二次世界大戦の授業でした。



どういうふうにそうなったのか経緯は知りませんが、戦時中の女性の扱いについての話になっていたみたいでした。




いつものひょうきんな、明るい沢井先生はそこにはいませんでした。

戦場慰安婦、ひめゆりの塔、レイプなどの酷い話を時には涙を堪えながら、黒板に叩きつけるようにチョークで文字を書いていくその姿に、みんな心を鷲掴みにされていました。


クラス1、授業中は何かとやかましい僕の友人でさえ、今まで見た事がないような真っ直ぐな眼で、先生の背中を見つめていました。





あっという間の50分。

後にも先にも人生で、こんなにも心震える授業を受けたことはありませんでした。





チャイムとともに沢井先生は何も言わずに去っていき、教室内に残された僕らは



「なんや…今の授業は…」

「とにかくすごかった!」

「沢井先生、泣いてたな」






「伝説の授業や……」




自然と上がるざわめき、歓声。

何年か経った今でも、友人達の間では語り種で、この伝説が語り継がれてます。





やっぱり人の心を動かすのは、テクニックも重要だけど、根本的なハートなんだ、って今でも思ったりします。






嗚呼、青春。







ではまた!





押忍。