バランスのいいのが一番いい。
 だけど、それって簡単じゃない。

 先日のガールズトークにて。
 彼女は人生37年にして、出会ってしまったらしい。
 心だけでセックスできる相手を。
 自他共に肉食を認める彼女は、とっても戸惑っているらしい。

 そのひととはじまると知らないあいだに潤んじゃって、何にもしてないのにつるんと彼のが収まっちゃって、そして彼のあれと自分のものの大きさが寸分の狂いもなくぴったりで、どんな終わり方でも満たされるんだって。

 今まで肉だけのセックス経験したけど、こんなのはじめて。なんだって。
 なんか、素敵なアンバランスだなあ。
 いつぶりだろう、こんなの。

 いつも考えてるの。あなたを。
 移動中の車の中で、冬物のアウター展示会で、仕事でたくさんの人前に立っている時でさえ。

 いつも迷って消去しちゃうの。あなた宛てに作ったメールを。
 今、忙しくしてるんじゃないかなあ?とか、私の事なんて忘れちゃってるかもしれない。とか、他の誰かといるかもしれない。とか。考えて。

 おかしい。こんなあたし。
 あたしじゃないよ、こんなあたし。

 他の誰かにデートに誘われても面倒。

 どうしようもなくって、数年来の悪友にこのことを打ち明けた。
 聴いてくれるだけでよかったのに、彼女はご丁寧に診断してくれた。

“ビョーキ”だって。
“着地点のない恋”だって。

 ビョーキだとしたら、いつか終わる時が来る。必ず。
 だけどそれが、着地点のない恋だとしたら?
 梅雨明けして、ちょっと恨んじゃいそうにぎらぎらの太陽の下。
 午後からの出張。メンバーは四人で、少し年上の上司。他の部者の少し年下の上司とその部下の、うんと年下のかわゆいコ。

 帰り道。
 他の部署の少し年下の上司と、少しだけ。
 三十秒ぐらいかもしれないし、二分ぐらいだったかもしれないけれど、少しのあいだだけ、ふたりきりになった。
 コーヒーを買いに寄った、コンビ二の駐車場で。

 普段から皆の前で、俺先生のこと職人としてすきです。だとか、会いたかったです、先生、久しぶりに会えて嬉しい。だとか。そんな社交辞令をくれて、周りの笑いを誘うひと。

 そのひとと。
 うん。ふたりきりで話をしたのははじめてで。
 その短い間に。

「俺、先生とふたりで飲みに行きたいなあ」って。

「あら、残念」

「どうして残念なんですか?」

「だって、先生結婚されてるでしょ?」

「いえ、残念じゃないです。いいですよ。ふたりで飲みにいきましょう」…そこで!私の上司と彼の部下が合流。

 こういうのって、なんかドキドキしちゃわない?