地球生命は海から誕生した

46億年前に地球が誕生し、その後海が生まれ、生命が誕生してきた歴史がある。

生命が酸素を放出し、地球大気が形成された。

今、地球環境が危機に直面している。地球温暖化が進み、海の豊かさが失われつつあり、陸も海も環境が変化し、これまでのように生きることが難しくなってきている。元の環境を取り戻すことはできないのか、近づけることはできないのか?

 

海は生命の母

瀬戸内海を見れば、海の栄養塩が減少してきただけではなく、海岸も目に見えない海底も大きく変化し、それが生き物に与える影響がものすごく大きい、とつくづく感じる。海底の砂利が採取され、埋め立て工事が進められ、海も川も護岸工事が行われてきたことが関わっている。かつて豊かにあった砂浜、干潟、藻場がすっかり減ってしまった。つまり、人間に都合のいいように変えられた、海岸も海底も、海の生き物には厳しい姿に変わってしまったのだ。

 

海藻の力と藻場のはたらき

海藻が、地球温暖化にも漁獲量減少にも関わっている。

地球温暖化は、人工的に引き起こされてきたCO2の異常増加によって引き起こされ、その影響は、気候変動、海の変化、災害の強度や頻度など、さまざまな形で私たちの生活に及んでいる。森林や海草が、CO2を吸収する役割を果たし、かつてはこの吸収力が十分だったのだが、森林面積も藻場面積も減少しつつある。

そんな中で海藻は、ブルーカーボンとして、光合成作用によりCO2を吸収する効果があることが改めて注目されている。

 

干潟や藻場が水生生物を育むためにどれほど大きな役割を果たしているか:

漁獲量の減少が続いていることから、海藻は海の生き物が棲みやすい環境をつくるものとしても欠かせない存在であることを改めて認識させられる。

 

藻場は、「海のゆりかご」と言われるように、海の小さな生物の隠れ場所、産卵場所を提供する。海藻の表面には、微生物や小さな甲殻類が棲みつき、それを食べる小型動物が集まる。まるで、海の中にミニタウンが形成されるかのようです。

兵庫運河では、干潟とアマモ場を誕生させる取り組みが行われ、アサリなどの貝類、カニ、エビ、小魚など100種類以上の多様な生き物が棲む環境が生まれた。瀬戸内海から消えつつあるアサリなどがここでは生息できることがわかった。

 

瀬戸内海などでは海の栄養塩が減少し、生き物が棲み難くなってきた。海の栄養塩を回復(増加)させる活動が広がっている。

一方、最近特に養殖場の赤潮被害の報告が目立ってきた。熊本県八代海や長崎県橘湾などで連日のように、養殖魚(トラフグ、マダイ、シマアジ、カンパチ、サバなど)の被害が報道されてる。「シャットネラ属」などの有害なプランクトンの異常増殖により被害が出ている模様。

 

魚の養殖が広がる昨今、赤潮対策の重要性が増している。栄養塩を回復されると赤潮発生の頻度が高まる恐れがあるため、両者の道を同時に進んでいけるか、正念場を迎えているといえる。

赤潮対策の一つが藻場の再生アマモ場は、増殖抑制細菌の棲息場になり周辺海域に広げる

藻場が赤潮予防対策として有効だという報告が増えてきた。

「海藻に赤潮を殺滅する殺藻細菌が多数生息することが観察されている」(OPRI海洋政策研究所)

 

海藻の力、藻場のはたらき:

●CO2を固定(ブルーカーボン)

●魚などの産卵場・生息場(海のゆりかご=餌場、産卵場)

●赤潮を殺滅する殺藻細菌が生息、周辺海域へ供給(赤潮予防)

●水質を浄化(海水中の栄養塩を吸収)

●食料(海産物)

 

海藻の繁殖する海、里海を回復させることが、水生生物の棲みやすい海の環境回復に必要ではないでしょうか。