July 21, 2009

鉄の水

テーマ:過去
生きるために不必要で大切なもの[Rental Heart Cafe self-cover]-090721


永遠を感じた夏
つぶれた絵の具を
しぼりだしてこすりつけた
文字にならない叫び

ばかでかい入道雲
光化学スモッグ
サイレンより
やかましい蝉の声

プールのにおい
ラムネみたいな錠剤
ザラザラのコンクリートに
25秒間描かれていた足跡

やがて太陽は垂直に
紫外線をまきちらす
僕らは土ぼこりの
煙幕をまきちらす

キュッと鳴らした
水道から
鉄の水が
噴き出した

風と時が止まった
コマ送りの永遠
僕らはずっと
小さな虹をながめていた


090721
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July 13, 2009

テーマ:過去
生きるために不必要で大切なもの[Rental Heart Cafe self-cover]-050405


おかしいな
思い出せないよ

あの川の名前
白い犬を拾った広い河原

あの犬は飼ったんだっけ
泣いたことは憶えてるんだけど





腕時計もらったよ
片づけてたら出てきたって

こんなに安物だったっけ
よくはめたまま寝てたよね

あんなに太いと思ったのに
腕の太さあんまりかわらないよ





今年は櫻が遅いから
花をたくさん買ってきたよ

綺麗でしょ?
しばらくこれで我慢してよ

ここの櫻は見事だもんね
もう少しで満開だよ





さて‥‥行くよ親父
また来年会いにくるよ


No.0220
050405
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June 22, 2009

迷子犬ポチ

テーマ:過去
生きるために不必要で大切なもの[Rental Heart Cafe self-cover]-050402


なんかの電話番号が
突然記憶の引き出しから
ポロッとこぼれる
「あれ?」

そういうきっかけで
過去に飛んでゆくことが
街角の交通事故と
ほぼ同じ確率で僕にある

それは昔愛した人の
実家の番号だったり
適当に時給をもらった
初めてのバイト先の番号だったりする

たいていは
5分ほどのショートトリップ
野良犬がゴミ箱を
耳を立ててあさる時間に等しい

そして途方に暮れる
僕は帰り道が‥‥
帰り道がわからないほど
遠くへ来てしまったんだなと

いま見ている夕陽は
こんな僕の感傷におかまいなく
沈もうとして
沈んでゆく



No.0217
050402
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October 02, 2006

表と裏の講釈

テーマ:過去
050315

坊主‥‥

どうして俺の歯に

銀歯がかぶさってるか

わかるか?



それはな‥‥

あるとき俺が

夢をあきらめたからだよ

わかるか?



しかしな‥‥

負けたわけじゃない

前向きな撤退だった

わかるか?





坊主‥‥

どうして俺の指に

プラチナがはまってるか

わかるか?



だからよ‥‥

ものごとには

表と裏があるってこった

わかるか?



つまりな‥‥

思い通りにならねえんじゃなくて

みんなわざわざ逆行っちまってるんだ

わかるな?



No.0199
050315
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February 04, 2006

万年筆

テーマ:過去
050203

時代遅れの万年筆

ぶっとくて重くて真っ黒

どんくさいフォルム



ところが紙の上なら

向かうところ敵なし

珠玉の逸品



なめらかに滑走する

ずっしりとした金色の筆先

間違いを許さない風格



おそらくは

一世紀ほどの歳月を

さらさらと走り続けてきた



亡き父のまた亡き父から

受け継がれた万年筆

今は僕の手の中にある



No.0159
050203
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December 13, 2005

靴擦れ

テーマ:過去
050109

靴擦れは死ぬほど痛かった
けど我慢した
弱音を吐いたら
置いてけぼりにされる気がした

子供の僕に山道は
障害物競走のようだった
父親に遅れまいと
ただ懸命に足をずった



なかなか会えなかった
一緒にいたかった
わがままを言わないって
僕は覚悟していた

父親はこわかった
けど一緒にいたかった
ほんとはカブトムシなんて
どうでもよかった



父親はすると唐突に歩き止まる
振り向いて無言で僕を睨むと
驚いて固まっている背中の荷物ごと
広い肩に僕を乗せた

3倍も5倍も高い目線
ごつごつとでかい父親
とてもあたたかくて僕は
「ごめんなさい」といった



溢れ出た涙のわけが
自分ではわからなかった
ほかに言葉が見あたらなくて僕は
「ごめんなさい」といった

枝すれすれを縫うように飛んだんだ
両手を翼のようにして
どこまでも飛んでいけそうで
もう少しも不安じゃなかった



No.0134
050109
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October 20, 2005

青い玉

テーマ:過去
041227


 それはボールの形をしていて、表面はゴムのような素材で、透明で海の色をしていて、弾みそうではないけど、指で軽く押すとしばらくへこんで、また元に戻る。
 まるで食べられそうにないけど、あめ玉のようで。まるでかたくないけど、宝石のようで。よく見ると液状のものが入ってるから、やっぱり食べ物かもしれない。
 それは我が家(文化アパート)の居間の、木目調テレビの上のカゴの中に、裸でかれこれ2~3年はほったらかしになっていて、僕はテレビの前を通るたび「きれいだな、でもなにもの?」って語りかけてた。
 その日に限って素直だった僕(高校生の僕は訊ねることが嫌いだった)は、すぐ隣の台所で米を研いでる母に訊いた。
「ねえ‥‥この青い玉なに?」
 母はいたずらっぽい目で
「お・ふ・ろ」と答えた。
 なんだか僕はそれっきり馬鹿らしくなってしまった。

 昨日、銀座のアロマショップで、偶然、その青い玉を見つけたんだ。
「ん?」
 透明な箱にはバスオイルって書いてある。
「バスオイル?‥‥入浴剤?」
 財宝の謎を解き明かす気分。

 あれから何年経ったんだろう‥‥。

 青い玉を“バス”に入れると、それはしばらく浮かんでいて、ツルッとむいた葡萄の皮のように、だんだんとシナシナになって溶けていく。中からはとてもいい香りの油が滲みだしてくる‥‥。
「はは~ん、こういうこと」
 オイルは一瞬で僕を若返らせた。(気がした)

 そして僕は考えた。

 あのときの母のいたずらっぽい目に、どうして、もっとはしゃいであげなかったのかな。
 母は青い玉を箱から出して、きっとそこに“飾って”いたのに、どうして、もっと愛でてあげなかったのかな。
 そんなことを考えた。

「‥‥ごめんね」

 失った時間をとりもどせない。
 失った存在がよみがえらない。

 僕はいつしか、おとなになってしまったけど、僕はいつしか、こどものように泣いてしまった。



No.0121
041227
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August 18, 2005

最後の晩餐

テーマ:過去
041128


確か、駅の改札で待ち合わせてね。会って10分もしないうちにもう喧嘩になって。

「だから、なんで喧嘩したの?そこ重要でしょ」

なんだったかな‥‥。あんまりおぼえてないけど、きっと生活のすれ違いとか価値観の違いとかが理由だったんじゃなかったかな。

「ふーん」

なんていうの?わりと冷静な喧嘩でね。

「冷静な喧嘩って、なによ?」

そのときね、ふたりとも腹ペコだったんだよ。イライラしちゃうじゃない。

「はあ‥‥動物的だよね」

なんかさ、そんなもんでしょ。

「まあね」

それで、その頃よく行ってたレストランに入ったんだ。駅前のふらんす亭。

「北口のとこね。冷静な休戦協定ってわけだ」

彼女はサーロインのディナーセット、おれはレモンステーキとライス。

「食ったもんとかよく憶えてんね」

定番だったの。いっつもさ、メニューとか見ないんだよ。

「俺ダメ、おんなじのばっかだと飽きちゃうわ」

そう?‥‥店員が奥に引っ込んで、おれがタバコに火点けると彼女プイってソッポ向いてね。

「まだカンカンだったんだ、彼女」

いや、吸わないから、彼女。

「あっ、そうなんだ。‥‥その情報いらないから」

‥‥それっきりだね。

「へっ?なにが?」

それっきり喋んなかったんだ。食事中もずっと。

「ずーっと黙ってるのは気まずいよね」

となりの客まで気まずい感じになってたよ。

「かわいそ。巻き込まれちゃってるよね、軽く」

彼女はコーヒーをね。飲み終わってさっさと出てっちゃって。おれがお金払って店出たら、もういないの彼女。

「いないって、どこ行ったの?」

だから!彼女いなかったの!

「えっ?さがさなかったの?まさか、それっきりってそれっきり?それ最後?」

なんだか追っかけちゃいけない気がして‥‥。

「それ、普通追っかけるでしょ」

結局、最後の言葉「ホット、食後で」だもんね。間抜けでしょ。まったく‥‥、コーヒー飲むたんびに思い出すよ。



No.0092
041128
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April 25, 2005

テーマ:過去
040910

彼が家にやってきた。
彼は18段変速だ。
彼のツノはドロップハンドル。
彼はピカピカレッドだった。

彼と僕はすぐに仲良くなった。
学校から帰ると、ずっと一緒にいた。
彼は僕を知らない場所へ連れて行ってくれた。
彼との時間はあっという間だった。

一週間が経った頃、彼は転んだ。
無理に砂利道を走らせた僕のせいだ。
彼のボディにはかなり深い傷。
彼はしばらく立ち上がれなかった。

翌日、彼の傷をお医者さんに見せた。
完全に治すには莫大な費用がかかる。
去年のお年玉全部でも足りない手術代。
僕は絶望に支配された。

お医者さんは言った。
「走るのに支障はないよ。
個性だと思えばいいじゃない。」
僕には意味がわからなかった。

僕は彼を、やがて邪険に扱いはじめた。
彼との走りにときめくこともなくなった。
彼とは目を合わせなくなった。
やがて僕は“彼”を捨てた。

あれから長い時間が経った。
僕は間違いを繰り返している。
間違いに気づいているのだけれど。
やっぱり僕は間違いを繰り返す。

‥‥愛の意味がわからないんだ。



No.0012
040910
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